【CJC=東京】首都の知事が収賄容疑で辞任を余儀なくされた日本、鉄道ストが長期化する韓国、ナンバーツーを処刑した北朝鮮、少数民族問題に揺れる中国……さらにはタイ、イラン、ウクライナ、シリア、エジプト、南スーダン、中央アフリカ、ナイジェリアと世界各地で混乱が続く中、2013年のクリスマスを世界は迎えた。
教皇フランシスコは24日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂でクリスマスイブの深夜ミサを行った。大聖堂には各国外交団など教会関係者、信徒約1万人が集まった。聖堂前のサンピエトロ広場にも数万人の信徒や観光客が集まり、教皇のスピーチは大型スクリーンで伝えられた。
広場にはドイツのバイエルン州ヴァルトミュンヘンのモミノキが装飾を施した枝を広げ、その隣では、大型の「プレゼピオ」(イエス降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が置かれた。
3月に着座以来、最初のクリスマス・ミサで教皇は、「聖なる誕生を最初に目撃したのは地元の羊飼いたちだった」と羊飼いの果たした役割を強調、信仰心の大切さを説いた。
教皇は、「心が閉ざされ、誇りや偽り、利己主義に支配されているなら、われわれの内面と周囲には暗闇が垂れ込める」として、神の「愛」と「許し」を説き、「神と同胞を愛する者は光の中を歩く」「同胞を憎む者は闇に包まれ、進む道がわからなくなってしまう」と述べて平和を呼び掛けた。
正教会はユリウス暦に従い、1月7日にクリスマスを祝うが、ロシアのカトリックとプロテスタント信者たちは25日にクリスマスを祝った。
教皇は25日、国際社会に向けたクリスマスのメッセージを発表し、シリアや南スーダン、中央アフリカの紛争に速やかに終止符を打つよう訴えた。
教皇はバチカンのサンピエトロ広場に集まった世界各国の巡礼者を前にバルコニーからクリスマスのメッセージを読み上げ、シリアや南スーダンなどで激化する戦闘の終結に向けた対話を呼び掛けるとともに、世界の国民がそれぞれ「調停者」となり平和実現に努力するよう求めた。
教皇はまたアフリカ難民やフィリピン台風被災者への支援を呼びかけた。さらに地中海で相次いだ難民や移民の遭難について「二度と起きてはならない」と指摘。難民船を装った人身売買は「人道に対する罪だ」と述べた。
教皇フランシスコは正午、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂の中央バルコニーから、クリスマスのメッセージを発表した後、ローマと世界に向けた教皇祝福「ウルビ・エト・オルビ」(ローマ市と全世界へ)を贈った。
英国国教会と聖公会共同体の最高指導者カンタベリー大主教のジャスティン・ウエルビー氏も着座以来最初のクリスマスに際し、カンタベリー大聖堂で、英国の貧者と世界各地の紛争被害者が直面している「不正」に焦点をあてて説教した。
大主教は、中東でキリスト者共同体が、信仰のために迫害を受けていることを非難した。