オバマ米大統領は10日、南アフリカハウテン州州都のヨハネスブルグで演説を行い、故ネルソン・マンデラ元同国大統領について「20世紀最後の偉大な解放者であった」と賞賛した。
90人以上の世界各国政府高官と数千人の聴衆を前に、オバマ米大統領は故マンデラ氏をマハトラ・ガンジーやマルティン・ルター・キング、アブラハム・リンカーンと比較し、「マンデラ氏の生涯で培ってこられた業績を振り返ると、彼が穏やかに笑っているその他大勢の一般人とかけはなれた肖像画のように見てしまおうすることもありますが、マンデラ氏自身はそのような活力のない肖像画のように思われるのを嫌っていました。マンデラ氏は私たちと自身の内にある疑問や恐れを共有したいと思っていました。マンデラ氏は人生において数々の勝利を収めたものの過ちを犯したことも認め、『あなたがたがひとりの挑戦し続ける罪人を聖人と思うのでないかぎり、私は聖人ではない』と言われていました」と伝えた。
ネルソン・マンデラ元大統領は先週5日、自宅にて95歳で息を引き取った。長年闘病生活を続けており、入退院を繰り返していた。ジェイコブ・ズマ現南アフリカ大統領は同日、全世界へ向けたテレビ放送を通して「わが国にとって最大の息子が失われた」と追悼の意を表した。
各国政府・キリスト教指導者らもマンデラ氏への追悼メッセージを発表している。国連事務総長の潘基文氏も同追悼礼拝に出席し、マンデラ氏について「私たちの時代においてひとりのもっとも偉大な教師であった」と賞賛した。
オバマ米大統領はしばしばネルソン・マンデラを自身が精神的にインスピレーションを得た人物として引用していた。南アフリカ初の黒人大統領として人種差別問題に取り組み、政治犯として27年もの間拘留されてきた姿など、オバマ米大統領自身にとっても政治指導者の模範となる人物としてしばしばネルソン・マンデラの功績を引用していた。
オバマ米大統領は「ガンジーのように彼は反差別運動を導いてこられました。最初は成功する見込みがほとんどないと思われていた運動を導いてこられました。キング牧師のように、影響力のある演説をされ、人種差別などの圧力下にある人々のために戦ってこられました。東西冷戦の最初から最後までの期間にいたるほどの残酷な拘留生活にも忍耐され、出所後はアブラハム・リンカーンのように自身の国をひとつにするために捧げてこられました。また後の世代の人々のためにも継続的に自由が守られるために戦ってこられました。民主主義と法の下にある社会のために献身されてこられました」と伝えた。
オバマ米大統領は故マンデラ氏の業績でもっとも偉大な事柄について、「人類がひとつになるためにまだ見えていないものを実現することができる」ことを認識して活動していたことであるとし、人類すべてにとって隣人愛をもって互いに互いを思いやることは必要不可欠なことであると演説の中で強調した。
オバマ米大統領は「ネルソン・マンデラのような人物を二度と見ることはないでしょう。しかしアフリカの若い人たちに対して、そして世界中のすべての若い人たちに対して私が伝えたいことは、『あなたもこのような生き方をあなた自身の生き方とすることができる』ということです。30年以上前、私はネルソン・マンデラについて学び、この美しい地にあって生じた戦いを知りました。このことは私の心を奮わせました。他者や自分自身の生に対してより責任を持つべきであることを悟らせました。このことが今ある私の立場へと導くきっかけとなりました。マンデラ氏のような生き方をするには欠けているところがありますが、マンデラ氏の生は私がより良く生きるための模範となっています」と伝えた。
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