南アフリカ元大統領で同国のアパルトヘイト=人種隔離政策撤廃運動を指導してきたネルソン・マンデラ氏(95)が5日、死去した。
同氏の死去を受け、世界福音同盟(WEA)は同日、追悼メッセージを発表した。
追悼メッセージでWEAは、「南アフリカの民主国家建設の父である方が亡くなられたことを受け、同国および世界各国の皆さんとともにお悔やみ申し上げます」と伝えた。
南アフリカ共和国という一国の指導者にとどまらず、世界各国で平和運動を繰り広げ、和解の精神を伝えてきたマンデラ氏は、アパルトヘイト政策に反対し、同国の破壊工作を行ったとして1964年に国家反逆罪終身刑となり、収監されていた。1982年にはケープタウン郊外の刑務所に移監、27年の収監生活を経て1990年2月11日に釈放されるに至った。その後人種・性別による社会における差別撤廃のための活発な活動を展開してきた。
南アフリカ福音同盟(TEASA)事務総長のモス・ヌツラ氏はマンデラ元大統領の死を受け、「南アフリカ共和国の父として多くの人々に知られてきました。不正と悪に立ち向かう生き方の模範となり、大きな勝利を収めてきました。マンデラ元大統領の死去は『人よ、何が善であり主が何をお前に求めておられるかはお前に告げられている。正義を行い、慈しみを愛しへりくだって神と共に歩むこと、これである』(ミカ6章8節)という預言を思い起こさせます」と伝えた。
WEA議長で地域教会牧師のヌダバ・マザベン氏は、「マンデラ氏はすばらしい方でした。彼の死を受け、わが国は嘆きと彼が遺したすばらしい業績を讃える思いでひとつになっています。私たちはマンデラ氏の霊的な生活について十分にわかっていないかもしれません。というのも、マンデラ氏は自身の霊的な生活については公開せずに生活する傾向にあったからです。しかし彼の無私の姿と仕える姿勢は、永遠に私たちの心の中で模倣すべき姿として生き続けるでしょう」と伝えた。
マンデラ氏はアフリカ大陸全土、および世界中において無私の姿、他者に共感する指導者の姿の模範を示してきた。キリスト教界のみならず、各国政府、芸術界、ビジネス界などあらゆる分野のリーダー層で21世紀における指導者の模範的生を示した人物として讃えられている。
アフリカ福音連盟(AEA)事務総長のエイア・フォディ-カベンジェ氏は、「マンデラ氏の生涯は神の似姿として造られた人類の生き方の模範となるものでした。マンデラ氏のご家族の皆様、南アフリカのすべての人々に対して心より哀悼の意を表します。マンデラ氏の模範的なリーダーシップの姿がますますアフリカの指導者の方々を啓発していくことができますように」と伝えた。
WEA代表のジェフ・タニクリフ氏は、「世界中が偉大な指導者の死去に胸を痛めています。ネルソン・マンデラ氏は勇気とビジョン、犠牲の生の模範となる方でした。今日私たちがもっとも必要としている指導者のあり方を示された方でした。ネルソン・マンデラ氏の生涯の記憶が、新たな世代の指導者たちを啓発していくことができますようにお祈りします」と伝えた。
WEAは世界中の良心ある人々に対し、マンデラ氏の家族、および南アフリカの人々とともに追悼の祈りを捧げるよう呼びかけている。