【CJC=東京】ペルー・カトリック教会リマ大司教のフアン・ルイス・シプリアーニ枢機卿は、バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官のゲルハルト・ルードビッヒ・ミュラー大司教が、「解放の神学」に対して好意的な姿勢を示していることは「誤って」いる、と語った。
ミュラー大司教は10月初め、バチカンと「解放の神学」の間に和解を樹立することが重要、とする声明を発表していた。それへの応答の形でシプリアーニ枢機卿が「彼は間違っていると思う。ミュラー大司教の仕事は、カトリック信仰の健全な教義を擁護することなのだから、無邪気なことは止めなければならない」と述べた。
ミュラー大司教は、「解放の神学」の唱導者の1人であるグスタボ・グチエレス神父と親しく、『貧者の側に=解放の神学、教会の神学』を共著した。
シプリアーニ枢機卿は、教皇フランシスコがこの過激運動を支援している、というミュラー大司教の主張にも異議を挟んでいる。
ペルーでは長老格のシプリアーニ枢機卿は、属人区「オプス・デイ」会員。1996~97年にかけてリマの日本大使公邸占拠事件では、反政府組織と交渉し、日本人とペルー人の人質の救出に尽力した。
「解放の神学」は、南米では今も人気がある。教皇ヨハネ・パウロ2世は、「解放の神学」があまりに政治的過ぎるとして、1980年代に中和しようと努めていた。