15日の英議会では、パキスタンとエジプトのキリスト教徒の女性に対するおぞましい犯罪の数々に関する公聴会がなされた。15日、英クリスチャントゥデイが報じた。
英議会の公聴会では、パキスタンおよびエジプトのクリスチャン女性が、誘拐や暴力、強姦、さらには飲用水など生活必需品の供給も拒絶されるなどの深刻な迫害に遭っていることが伝えられた。これらの国々におけるキリスト教徒の女性に対する差別は日々深刻化している。
公聴会ではパキスタンカトリック教会正義と平和委員会による「遠隔にある人々の生活」、カトリック支援団体「必要のある教会への支援(ACN)」による新書「宗教解放のための奮闘とキリスト教徒(公聴会で完成予定)より報告が行われた。
調査報告によると、これらの国々では社会的地位の低い女性ほどセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)や強姦の被害に遭いやすい状態になっているという。さらにパキスタンの宗教少数派に属する女性においては、就業中の女性のうち30パーセントはセクシュアル・ハラスメントの被害に遭っていることが報告された。他にもエジプトのコプト教徒の女性の誘拐事件が増加しており、2009年以来クリスチャンの誘拐事件は800件以上生じているという。
英議会公聴会ではパキスタンパンジャブ州において、息子が冒とく法に抵触した罪により銃撃に遭ったことを受け、家族ともども英国に亡命してきた女性ソムセナ・アンジャムさんからパキスタンのキリスト教徒に対する迫害の現状が報告された。
アンジャムさんの夫であるスティーブンさんは、昨年暗殺されたクリスチャンのパキスタン閣僚であったシャハズ・バッティ氏と緊密な関係を築き、共に働いていたという。アンジャムさんは「私はパキスタン農村部のキリスト教女性の苦しみの証言者としてここに立っています。キリスト教を信じているがゆえに、彼女たちは日常的に残虐行為に直面しています。憎しみに起因するキリスト教女性への犯罪は増加しており、いつ終わるかも分からない状況です。そしてこれらのキリスト教女性に対する犯罪の多くは明らかにされず、罪にも問われていません」と報告した。
アンジャムさんは、1998年から2009年まで、パンジャブ州の数百世帯ものキリスト教徒の家庭を訪問し、カウンセリング活動を行ってきた。
同公聴会は英リバプールのデイヴィッド・アルトン上院議員が議長を務めており、パキスタン、エジプトの聖職者からの公聴会も行われている。
ACNによる報告では、「全体的にパキスタンの調査結果から、キリスト教徒は社会のセカンドクラスに属する市民として扱われていることが伺える一方、キリスト教徒の女性に限って言えば、ほとんど市民としての扱いを受けていないと言っても良い状態である」ことが伝えられた。
ACNではエジプトおよびパキスタンのキリスト教徒の女性に特化した報告書をまとめ上げ、その中で課題を強調して報告した。
パキスタンのキリスト教女性に対する強姦事件については、「パキスタンの女性に対する強姦事件の頻度は実際に報告されている4倍はあると考えられます。そして多くの性的犯罪は沈黙の中に隠されてしまっています」と報告された。
アンジャムさんはさらにパキスタン農村域に住むキリスト教女性の直面する深刻な問題として、地元のイスラム教徒が「キリスト教徒が触ると汚れる」と言ってキリスト教徒の女性に井戸を使わせてくれないという問題が生じていることも報告した。
アンジャムさんは、「パキスタンの貧困地域の中でも、キリスト教徒の女性は最も貧しい立場にあります。彼女たちは暗黙の差別の中、恥辱にまみれた生活をしているのです」と訴えた。