国際宗教自由に関する米国委員会(USCIRF)会長のレオナルド・レオ氏は、米軍がアフガニスタンとイラクから撤退することによって、同地域からキリスト教徒がいなくなる可能性を指摘し、懸念を表明している。29日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
米CNSニュース編集者のテリー・ジェフェリー氏とのビデオ対談を通して、レオ氏は中東地域で生じる政情のパターンについて説明し、「同地域から出国しようとするキリスト教徒の数は年々増加しています」と述べ、イラク、アフガニスタンおよびエジプトからキリスト教徒がいなくなってしまう事に対して懸念を表明した。
2003年3月にイラク戦争が開始して以来、イラク国内では宗派間暴力が激化し、米軍がイラク国内の紛争要因を取り除く役割を担うようになった。同国のキリスト教共同体への暴力は年々激化し、昨年10月にはイラク首都バグダッドで58人のキリスト教の集会参加者らが殺害された。それ以降、イラクからは90万人ものキリスト教徒が同国を出国していることが最近の調査の結果明らかになった。
レオ氏は、イラク政府がキリスト教徒を保護する適切な手段を講じていないこと、キリスト教徒を攻撃する人々を訴追しないことを非難しており、「まず第一の大きな問題として米国その他各国がイラク問題に対して認識しなければならないことは、イラク国内での戦闘の大部分は宗派間の紛争であり、特にイラク北部のキリスト教徒その他宗教少数派に対する暴力においては懸念を示していかなければならないということです」と述べた。
レオ氏は、「イラク社会において宗教少数派の存在は常に重要な役割を果たしてきました。これら宗教少数派がイラク国内からいなくなるということは、イラク社会に深刻な問題をもたらすことにつながります」と懸念を表明した。
米軍は15日にイラクから撤退し、アフガニスタンからも今月末をもって撤退する。
レオ氏は米軍の同地域からの撤退について「米軍がイラクとアフガニスタンから完全に撤退した後、どのようなことが生じるかについて大変懸念しています。今後イラク政府の国内の治安およびその他イラク国内のキリスト教徒を米軍の存在なしにどのように保護していくのか、検討がつきません」と述べた。