先日、妻とともにテキサス州サンアントニオまで旅行に行きました。そこで講演をする予定がありました。サンアントニオに行くために空港の搭乗ゲートで待機していたら、ある紳士が私たちの隣に座られていて、何か熱心に電話で話をしていました。
その話を横耳に聞いていたところ、どうやら彼は空港保安検査員の検査を不快に思ったようです。彼は電話で「あいつらに一時間に10ドルも払うなんてばかばかしい。胸にピンバッジなんかつけやがって、自分が神とでも思っているかのような振る舞いだったよ!」と怒鳴っていました。
確かに、彼は空港保安検査で無実の被害者だったのかもしれません。彼に対応した空港保安検査員の質が良くなかったのかもしれません。彼は他にも似たような体験談を電話で話し、最後に「あいつら(空港保安検査員)はろくでなしの集まりだ。本当にろくでなしの集団だよ!」と不満を爆発させていました。
興味深いことには、妻と私もちょうど彼と同じくその空港保安検査員による検査を通過してきていたのです。しかし私たちはその検査員たちに笑顔であいさつし、彼らも同様に私たちに笑顔であいさつを返してくれました。
妻のゲイルが検査員による検査を受けた後、私の検査の番になって、検査員は私の身分証明書を見て、「あなたはゲイルさんの配偶者ですか?」と問われました。それで私はにっこりと笑って「ええ、そうであると願っています」と答えました。検査員と私は双方ともに笑い、最後にその検査員は私を満面の笑みで手を振って送ってくれました。
最初の検査を通過し、二度目の検査員に直面したときの彼の振る舞いも、とても丁寧で、プロフェッショナルなものであり、なおかつフレンドリーでもありました。それで私はその検査員に検査をしてくれたことのお礼を言い、彼は「すばらしい日を送られますように」と敬意をもって私を見送ってくれました。
その経験を通して、私の隣に座っている紳士がなぜそこまで保安員に憤りを持っているのかを考えてみました。私自身は空港保安検査で嫌な思いをしたことはこれまでなかったと思います。これは空港保安検査員は必ずしも嫌な思いをさせることはないと言えることではありません。なぜなら空港保安検査員とひとことに言いましても、人間の中から雇われた人たちですから、その中に良くない人が存在している割合はないとは言えません。
しかし私自身の実体験から言えば、一部の例外を除いて、彼らの対応は普通であるか、とても良い対応であるかのどちらかでしかありません。彼らの行っている仕事は大切な仕事であり、私はその仕事への感謝の気持ちを頻繁に表すようにしてきました。
結局何が言いたいのかと申しますと、あなたが他人から受ける態度は、あなたが相手をもてなすのと同じ態度になるということです。もし空港保安検査員が「ろくでなし」だと思われるならば、その結論を支持する証拠を探そうとされるでしょう。人間の脳は恐ろしく従順にそのような思考を行うものです。
一方で、もしあなたが空港保安検査員は同じ一国民としての仲間であり、毎日同じことを繰り返す労働をなされていることを考えると、そのような仕事によって私たちの安全を守り続けていただいている彼らの仕事に感謝せずにはいられないのではないでしょうか。そのような考えをすると、人間の脳はその考えに従順に、その結論を支持する証拠を探そうとします。
2001年9月11日のテロ事件以来、同じようなテロ事件が再び生じていないという事実からも、私は空港保安検査員が極めてすばらしい仕事をされていると思っています。
あなたが何を考え、どのようなものを得ることになるかーすべてはあなたがどのような考えをするかの決断にかかっているのです。
=================================================
トーマス・ネルソン 会長(前CEO) マイケル・ハイアット氏
トーマス・ネルソンは世界最大のキリスト教書籍出版会社である。米国内では書籍出版貿易で第7位となっている。同氏のブログ(http://michaelhyatt.com)では、指導者として必要な福音的思考法やウェブサイトによる効果的なビジネス法、出版業界に関するトレンドなどを紹介している。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
聖書のイエス(6)「わたしはさばきのためにこの世に来ました」 さとうまさこ
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
主にある救いと教会のイメージを持って歩もう 万代栄嗣
-
人生を変えることができるのは誰? 菅野直基
-
ワールドミッションレポート(3月31日):スーダンのコロマ族のために祈ろう
-
ワールドミッションレポート(3月30日):北マケドニア 種まきと弟子化を続ける宣教のバン
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
ミャンマー地震、国内のキリスト教NGOが緊急募金開始
-
キリシタン弾圧を描いた遠藤周作の代表作『沈黙』 絶望の淵で宣教師が得た答えとは?
-
超自然的現象と科学(11)アガペー再考―アガペー以上の大きな愛「ドード」発掘 愛多妥直喜
-
聖書の売り上げが5年間で87%増加、英国 Z世代がけん引か
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
人生を変えることができるのは誰? 菅野直基
-
第3回臨床牧会教育(CPE)参加者募集 オリブ山病院で6月30日〜7月11日 「信仰の実践としての医療におけるスピリチュアルケア」
-
主は生きておられる(236)ありがとう、つぼみ 平林けい子
-
シリア語の世界(20)名詞1・ヨハネ黙示録の賛美歌3―5章12、13節― 川口一彦
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
カトリック作家の曽野綾子さん死去、93歳
-
教会で斬首されたキリスト教徒70人の遺体見つかる コンゴ東部北キブ州
-
バイセクシャルの黒人女優シンシア・エリボがイエス役に 配役巡り批判の声も
-
パリ外国宣教会、所属司祭らによる性暴力の報告書を公表 日本でも被害訴える声
-
聖書の売り上げが5年間で87%増加、英国 Z世代がけん引か
-
「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る
-
世界のクリスチャン700万人が参加、テクノロジー駆使した25時間集会「Gather25」
-
日本キリスト教病院協会、新会長に笹子三津留氏
-
アメリカ合衆国長老教会、性自認や性的指向に基づく差別を禁じる教憲修正案を正式承認