ここ数年、「絆」という言葉が流行っています。ミュージシャンたちも、「絆」というタイトルの歌を何曲も作っています。教会では、「交わり」という言葉を、「絆」という言葉以上の気持ちを込めて使います。何があっても切れない結び付きを保証する「交わり」をもつためには、どうしたらいいのでしょうか。皆さんの「絆」は、大丈夫ですか。天に召された方々と今も本当の結び付きがありますか。それとも生きていた間だけですか。
私も、愛する者を天に送っています。たとえば、牧師の仕事をしている時に、「ああ、親父だったら、こんな時どうするんだろう。お父さん、教えてくれませんか」。そんな思いで天を見上げて祈ることもあります。今も「交わり」が絶えません。本物の「交わり」を深めていきたいのです。
聖書は、私たちの人生も「絆」も、人間の生きることについては全て、神と結び付いて考える時、本物になると教えています。今日開いた聖書の中で、二つのことを心に刻み付けて欲しいのです。
1.本物の「交わり」を持つため、神と交わる
今、愛する方のお写真を前に、その方の優しさを思い出されているでしょう。それは、目には見えません。しかし、大切な人生の事実ではありませんか。
私たちの人生にとって大切なものはしばしば、目に見えないのです。目に見えるお金や物質的なものに一生懸命で忙しい時には、なかなかそれに気付きません。でも、大切な方を神のもとにお送りしてから、目に見えないものが分かり始めます。大切な人が注いでくれた愛情、忘れてはならない恩。目には見えないものが人生の宝物になります。そして、それらを本当に理解するために必要なことは何でしょうか。それは、目には見えないものの根源である神に向かい、心を開くことです。
愛する人を天に送ることは、実は、悲しいだけではありません。天国がうんと近くなり、命の源である神を知ることができるようになります。死が絶望に終わらず、いつかまたみんなと会うことができる永遠の命の希望に満たされるようになるのです。永遠の命を与えて下さる神と「交わり」を持つ時、みんなとの「交わり」は、絶対に断ち切れない「絆」になることを感謝したいのです。
2.本物の「交わり」の証明となる、光の中を歩む
聖書は、私たちの住む世界が、二つに一つ、光の世界か闇の世界だと教えています。
光とは、命であり、愛し、夢を語り、信じ、分かち合い、赦し、受け入れ、与えること。闇とは、嘘、偽り、ごまかし、わがまま、人を攻撃し、恨み、憎み、奪い、滅ぼし、殺すこと。世の中は、光と闇が混ざっています。聖書は、「神が与えられる光の世界を生きなさい」と語ります。
注意すべきことは、人間は生まれつきの本性のままでは、闇の中を歩みやすいということです。みんながやっているからと言って、商売のやり方が身勝手であったりします。でも、光の根源である神と「交わり」をもてば、光へと歩むことができるようになると聖書は語っています。そうすれば、救い主イエスが罪深い私たちの身代わりに十字架で死んで下さった愛が注がれ、心の闇が清められる恵みが与えられ、今の家族の「交わり」も、愛し合う本当の「交わり」となります。
天に召された方との霊的な繋がりが、今も厳然たる事実として生きているでしょうか。神とあなたの心がしっかり結び付いていれば、神のもとにある魂と語りかけるような「交わり」をもつことができ、何ら寂しさや恐れ、不安はありません。主イエスの血によって洗い清められた新しい永遠の命を与えられた縁、交わりがそこに存在します。
命の与え主の臨在に触れ、あなた自身も、神の光の世界に相応しい者へと心を整えられようではありませんか。「あんなことをされたから、恨んで当然」という自己主張から、身勝手な行動になりませんように。目に見える法律の世界での足し算引き算ではそうでしょう。しかし、神に結び付く霊の世界では、憎むより、赦して愛することです。その時に本物の「交わり」が神との間に存在し、召された方とも、今生きている家族や友人、信仰の友とも、本当の「交わり」をもつことができるようになるのです。このことを心から感謝したいのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。