7月9日、南スーダン共和国が建国された。同国国民の信じる主要な宗教はキリスト教であり、2005年1月に結ばれた第二次スーダン内戦の包括的な暫定和平合意によってスーダン政府から自治を認められるまで、宗教的対立が一部要因となっていた数十年にわたる紛争が続いてきた。独立を受け、これまで苦難と抑圧に耐えてきた南部スーダンでは、独立を記念し、将来の平和的繁栄を祝う人々の喜びで溢れかえる様子が伺えている。
スーダン聖公会のダニエル・デン主教は声明文で「私たちは今、本当に政府が存在しており、一つの国家として国際的に認知され、国際的に多くの支援を受ける魅力を惹きつけています。これは深く認識され、祝われ、また慎重に守られるべき偉大な成果であるといえるでしょう」と伝えた。
デン主教は南スーダン政府は今後治安の維持、安定した政府、経済成長や開発に関する幾多の試練に直面していることについても言及し、「南部スーダンと北部スーダンの間で生じてきた紛争は多くの人々に言い知れぬ苦しみをもたらしてきました。そして長年の紛争の犠牲者の精神的外傷(トラウマ)を癒すための活動も遅れが生じていました。しかし今私たちは南スーダン政府が背負う重荷を共に背負い、責任の一部を共に喜んで果たしていく立場にあります」と述べた。
スーダン聖公会は、南スーダンの平和・非暴力促進、国家の一致や発展を進めるために積極的な協力姿勢を示している一方、同国政府は部族主義、世襲体制や国内の汚職を一掃する課題も残されていることを指摘した。また南スーダン国民は、信教の自由が明記されている新たな暫定憲法を尊重することが大切であるとし、「南スーダン国民が(暫定憲法の下に)ひとつになることを呼びかけます。分離独立のための住民投票で分離独立票が99パーセントを示したような一致が今後も続いていくべきです。南スーダンの暫定憲法は私たちの新しい国家が発展していくための共通のビジョンを提供する目的のために存在しているものであり、南スーダン国民がこれを理解し、尊重することで一致が可能になります」と声明文で述べた。
一方で南スーダン国民は同国政府が健全に機能していくために大きな責任があることも言及し、「パウロ使徒は私たちの多様な賜物を用い、互いに助け合いながら一致して働くことを勧めました。私たちも過去の分裂された見地からではなく、(暫定憲法による)新たな見地でもって私たちの多様性を理解していかなければなりません。これまで民族の分断の原因であるとされてきた『多様性』が良く用いられることが今後の調和した国家の発展の鍵となるでしょう。南スーダン共和国が堅固な土台の上に建てられていることに関する責任は、私たち国民全員が持っていなければなりません。それゆえに、平和・非暴力社会を実現し、部族主義や腐敗した文化の影響を削減し、人権を尊重しすべての国民を公正に扱うために協働していかなければなりません。キリスト者として私たちが『キリストのからだ』の原則に基づいて、熱心に南スーダン国家発展のために尽力するなら、この国を後退させるような要因は生じないでしょう」と述べた。
スーダン聖公会は国際的ネットワークを通じて国際社会が南スーダンに継続的に注目をしていくための活動を展開している。クリスチャンポスト(CP)によると、国際エキュメニカルキリスト教団体代表団が10月にも南スーダン共和国を訪問する予定であるという。
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