2日、ドイツウルム市で開催された世界水資源に関する平和会議「ドナウ・ピース・ウェイブ」において、世界教会協議会(WCC)総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト氏は「今後数年間において、水資源問題が世界紛争の核心を成す問題となり得る」との懸念を表明した。
昨年9月、世界一高い教会塔をもつウルム大聖堂で有名なドイツウルム市にて立ち上げられた「ピース・ウェイブ・プロジェクト」は、これまですでにオーストリア、スロバキア、ハンガリーおよびルーマニアのドナウ河流域に沿ってイベントが開催されてきた。
2001年にドイツベルリンで立ち上げられたWCCによる国際的取り組みである「すべての暴力を克服する10年(2001~2010)」(DOV)では5月に開かれた国際エキュメニカル平和会議(IEPC)をもってその取り組みがひとまず完結したが、IEPCでは潜在的世界紛争の原因のひとつとして水資源問題が提起されていた。
トゥヴェイト総幹事は「WCCはこれまでエキュメニカルな水資源ネットワークをサポートしてきました。水資源問題を克服することは自然との平和、および日常生活上欠かすことのできない資源である水資源によって争いが生じている人々との平和を示す上で克服すべきさまざまな問題のうちの一つです」と述べた。
トゥヴェイト総幹事はウルム大聖堂でメッセージを伝え、その中でイスラエルとパレスチナの紛争問題が中東・アジアにおけるあらゆる紛争問題の根底をなす重要な問題であることを強調し、「中東においては不当な支配が生じており、また不当な支配による不平等な水資源の活用が生じています。イスラエルとパレスチナの紛争問題の中にもこの問題が隠れています」と述べた。
トゥヴェイト総幹事は世界中のキリスト者がイスラエルとパレスチナにおける正しい平和の在り方を模索していくための責任を果たしていく必要があるとし、「私たちキリスト者が信じ、伝えることが同地域の正しい平和のために寄与し、そのことが結果的に全世界規模の平和に寄与していくでしょう」と述べ、WCCはパレスチナとイスラエルにおいて、同地域のボランティアが不正と暴力による結末がどのようなものか観察し理解することを目的としたエキュメニカル随伴プログラムも発足したことを伝えた。
ジャマイカで5月に開催されたIEPCでは、世界100カ国以上から平和と正義のために活動する1000人もの人々が参加した。同会議ではWCCによる10年間のDOV活動を振り返る他、諸教会および個人が非暴力、平和および正義に関する問題について新たに取り組んでいくための励ましが与えられた。
トゥヴェイト総幹事は「平和に関する問題は、私たちすべてにとっての問題です。私たちの他者との日常的な関わり、私たちの存在の在り方から平和問題の解決の道が始まっていきます。私たちの生活スタイルが、どのように他者に影響していくかにかかっているのです。水資源問題に戻って言及すれば、先進国で多量に水を消費する文化が、他の地域において水不足が生じる経済に影響を与えています。同様の問題が食糧・エネルギー、資本主義経済についても言えるでしょう」と述べた。
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