「人たちに個人的な安全感を大きく意識させるべき所で、安全が確保されていない。ムバラク退陣以来、イスラム教徒とキリスト者の間の緊張が高まっている。コプト派キリスト者だけでなくエジプト市民全体がこのところ不安感を強めている」と『カトリック救援』のジェイソン・ベランガー氏は語った。
ムバラク退陣後、カイロでの抗争は死者24人、負傷者200人以上に上り、教会3カ所も破壊された。暫定政府は、キリスト者への攻撃に「不干渉」の方策で、即時対応はなされておらず、これではムバラク政権時代の何も変わっていない、とキリスト者は感じているようだ。
ムバラク氏は、キリスト教関係の問題は、コプト教会の指導者シェヌーダ3世教皇と直接接触して解決していたと見られる。「キリスト教とイスラム教指導者の間に緊張緩和への動きはあるものの、それに関与している人はごく少数だ。そしてエジプト各地では非識字層がそれぞれの指導者に従い、その言うままに動く」とべランガー氏。
イスラム圏諸国で勢力を増している『イスラム同胞団』に対するキリスト者の懸念も強い。イスラム教国家建設を目指す同派がこの9月選挙で過半数を占めた場合、エジプト脱出を迫られることにもなりかねない。事実このところ、米、英、カナダ大使館に査証を求める人が増えているとの情報もある。