今日の聖書箇所の直前には、イエスが神の御子であることを示す記事が展開しています。イエスが五千人を超える人々の空腹を、わずか五つのパンと二匹の魚で、一瞬にして満たされた奇跡の物語です。満腹し、驚いた人々は、イエスを追いかけて来るようになります。しかしイエスは、人々が本当の意味の信仰心ではなく、薄っぺらな関心や興味を持って集まっていることを見抜いておられました。イエスは、「なぜ、わたしのもとに来るのか。『もう一回、皆が腰を抜かすようなことをやってみて。』と言うのか」と言われ、人々に厳しく向き合われたのです。
イエスを慕い求める求め方にも、霊的な段階があります。単に、「お腹がすいたから、ご飯が食べたい」「お金がないから、恵んでちょうだい」「落ち込んでいるから、心を明るくさせて下さい」確かに、急場をしのぐための恵みも、時にはイエスは与えて下さいます。でも、何か問題が起きる度に、困った時の神頼みのような上っ面の恵みの求め方を、イエスは良しとされません。私たちは、本当の救い主であるイエスを求めているのでしょうか。三つのことをしっかりと心に刻み付けたいのです。
1.永遠のいのちにつながる食物をいただく
イエスが語っておられるのは、単に、食べるご飯だけではなく、霊の糧も含めて、私たちがどんなものを取り込んでいるのかということです。もし、私たちが、自分の霊的な食物だと思い、何でもかんでもどんどん取り込んでいると、人を憎んだり、不平不満や愚痴を言ったり、「自分の人生なんて、もうだめだ」と絶望したり、私たちの心は必ず歪み、不幸な魂になります。
イエスは、「永遠のいのちにつながる食物がある」と仰いました。私たちは、まず、クリスチャンとして歩んでいる中で、イエスを通していただく霊的な食物、質の良いいのちを与える食物を選び取るべきなのだということをはっきりと知りたいのです。
2.救い主キリストを、霊の食物としていただく
人々は、「神の御業を行なうために、私たちは何をすべきでしょうか」と興味津々でした。イエスは、「神から遣わされた者、即ち、救い主である私を信じなさい」と答えられました。そこから、本当の信仰生活が動き始めるからです。神のひとり子キリストが、人の姿を取り、目の前にいて、奇跡の御業を目の当たりにしたにもかかわらず、当時の人々にとって、イエスを信じることは難しいことでした。人々は、一番大切なことを忘れていたのです。私たちの目の前にすでに現われているキリストを選び取り、霊の食物としていただこうではありませんか。
今回のインド伝道の四夜連続の集会でも、多くの素晴らしい奇跡が起こりましたが、それだけで満足していません。なぜなら、伝えたかったのは、奇跡の感動ではなく、イエスを信じる喜びだからです。一週間経ち、この後、ニルギリでの礼拝も始まります。今、私の中で、リアルな祈りがあります。「癒され、悪霊から解放されたヒンズー教の人たちが、どうか礼拝に行きますように」教会に行き、聖霊に満たされた生活をしてほしいのです。イエスが与えようとした本当の救いは、単なる奇跡の御業ではありません。御業を起こして下さる救い主ご自身をいただくことが必要です。
3.聖餐式で、イエスをいのちのパンとしていただく
今朝、イエスの御体が、パンとして与えられ、イエスが十字架で流された血潮が、ぶどう酒として与えられます。単にパンを食べ、ぶどう酒を飲んでいるのではありませんし、単に心を落ち着ける儀式をしているのでもありません。パンがイエスの御体そのものであり、ぶどう酒が十字架で私たち人間の罪を洗い清めるために流された血潮であることを確認して、いのちのパンであるイエスを今朝もいただこうではありませんか。
あなたも私も、弱い人間です。私たちの力には限界があり、常に悩むこともあります。しかし、私たちには、単にほんの数時間ほど空腹を満たす食物ではなく、永遠のいのちに繋がる平安を保証し、いつまでもその喜びと躍動感で満たすことのできるいのちのパンがあることを知りましょう。それは、イエスご自身のいのちなのです。聖餐式を通して、このイエスの恵みに直接あずかりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。