同志社大一神教学際研究センター主催の国際ワークショップ「宗教における戦争と暴力−一神教世界からの応答」が20日、京都市上京区の同志社大で開かれ、日本や米国、欧州、シリア、中東の研究者が参加した。キリスト教とユダヤ教、イスラム教の“セム的一神教”が宗教対立・抗争の歴史をたどり、先鋭化によって世界の平和が危ぶまれていることを危惧し、「兄弟関係にある3宗教の共存の可能性を探すべき」として議論した。
一神教学際研究センター(CISMOR)は、文部科学省の21世紀COEプログラム「一神教の学際的研究−文明の共存と安全保障の視点から」の研究教育拠点として設立された。一神教間の対立の原因を、学際的、総合的に研究し、対立する文明の相互理解を促す“仲介者”としての役割を担っていくのが目的。
今回のワークショップには、米国、中東、アジア、欧州の研究者や大学院生25人が招待され、日本の研究者とともに2日間にわたって集中的に議論、初日のシンポを一般公開した。
カリフォルニア大サンタバーバラ校のマーク・ユルゲンスマイヤー教授は、イラク戦争について「政治が宗教戦争のイメージを持たせた。ひと握りの過激派が起こすテロを戦争とみなすのは間違いだ。問題は宗教的脅威ではなく、政治や社会的秩序にあるのではないか」と問題提起、イスラム教徒や宗教に属する人たちを保護しながら、平和に向けて的確な働きかけをしていく必要性を論じた。
また、シリアの神学校でイスラム学を教えるサラーフッディーン・クフタロウさんは「イスラム教への敵対意識が強くなったが、なぜイスラム教を戦争や暴力と結びつけるのか」と訴え、「イスラム教のジハードに『聖戦』の意味はなく、誤って使われている」とイスラム教への理解を強く求めた。