日の丸・君が代強制問題を扱ったドキュメンタリー映画「君が代不起立」の上映会が29日、国際基督教大学(ICU)であった。上映会にはICU内外から約80人が参加し、映画を真剣なまなざしで観賞した。上映後に行われたゲスト講演会には、映画を製作したビデオプレスの社員や、同映画主演である被処分者の根津公子さんらが出演し、日の丸・君が代強制問題に対する見解や個人的な思いを、学生たちの前で熱く語った。
映画「君が代不起立」は、東京都教育委員会による日の丸・君が代の強制に反対する教員たちの姿を追ったドキュメンタリー映画。2003年10月に都教委が定めた、教育現場の卒業式・入学式における日の丸掲揚と君が代斉唱の強制執行の通達から、予防訴訟判決が行われた昨年秋までのストーリーを紹介している。
03年10月以来、東京都の公立学校の卒業式・入学式では、都教委から職員が派遣され、教職員が国歌斉唱時に起立したか、斉唱したかが監視され続けている。
このように日の丸・君が代の強制問題が深刻化しているにもかかわらず、同問題に関心を寄せている人たちは少ない。講演会で、映画を製作したビデオプレスの松原明さんと佐々木有美さんは、「卒業式で国歌斉唱時に起立しなかったために数ヶ月の停職処分を受けた中学教師根津公子さんの取材を行う中で、同問題の重大性・緊急性に気付き、映画を製作しようと決めた」と語った。
また被処分者の根津公子さんは、「日の丸・君が代に限らず、国家権力による強制に無批判に従うことは踏み絵を踏むのと同じ。教員としてもし私が踏み絵を踏んでしまったら、『権力には従うしかない。社会とはそういうもの』という誤ったメッセージを子どもたちに発してしまうことになる。」と警告を発し、おかしいことをおかしいと主張する態度を貫き通す決意を熱く語った。
映画「君が代不起立」は昨年12月に完成した。87分の長編作となっている。卒業式・入学式シーズンを迎える中、今後も全国各地で上映会が開催される予定。なおDVD・VHS(6000円、送料別)の販売も行われている。詳しくは電話(03・3530・8588)、ビデオプレスのホームページ(http://vpress.la.coocan.jp/)で。