読売新聞(5日付朝刊)は、中国で、外国メディア関係者が、海外に機密を提供したとして罪に問われるケースが相次いでいる、と報じた。当局の管理が及びにくい外国メディアに圧力をかけると共に、国内メディアの引き締めを図る思惑がある可能性を指摘している。
報道によると、中国外務省の孔泉報道局長は2日の定例会見で、米ニューヨーク・タイムズ紙の北京駐在中国人スタッフが5月20日に、「海外に国家機密を提供した罪と詐欺罪」で送検されたと確認した。読売新聞は、孔局長が、趙氏の罪の具体的内容を明らかにせず、「記者は法規を守らなければならない」と強調したとしている。
同スタッフは2004年9月、上海で当局に拘束されたことがある。同紙が江沢民・中央軍事委員会主席(当時)の辞任をスクープしたことに絡む措置との見方や、農村の官僚の腐敗ぶりについて中国誌に執筆していたことと関連するとの見方がある。
5月31日には、孔局長が、シンガポール紙記者を「スパイ容疑」で取り調べていることを確認した。読売新聞(同)によると、当局が押収した記者のパソコンから、胡錦濤・中国国家主席の非公開演説が見つかり、情報提供者とされた中国社会科学院の研究者も、当局に拘束されているという。
一方、中国紙、人民網・日本語版(5月17日付)は、国務院新聞弁公室の趙啓正主任が16日の「フォーチュン世界フォーラム」文化円卓会議で、世界のメディアに対し、中国関連の報道に客観性と公平性が欠如していると指摘したと伝えた。これによると、趙主任は「一部の海外メディアの(中国関連の)報道が、全面性を欠いたり、一部の欠点を誇張したり、デマ情報を正式な情報として伝えたりしている」と述べ、事実との「ずれ」が報道されることで中国に対する誤解が生じるとした。一方、中国については、「昔から今まで、中国人には他人を侵害するという発想も、必要も、能力もない」と断言した。