宗教活動であることを隠して勧誘し入会させられ、精神的苦痛や経済的被害を受けたとして、新潟県ほか首都圏の「世界基督教統一神霊協会」(統一協会)の元信者35人が同協会に総額約3億3500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、新潟地裁であった。大工強裁判長は「違法な勧誘・教化行為で信教の自由や財産権を侵した」として、同協会に約8700万円の支払いを命じた。
判決によると、元信者は80年代からから93年ごろにかけ、同協会に勧誘され、教義とは直接関係ない印鑑や壷(つぼ)などの販売に従事させられたり献金をさせられたほか、合同結婚式で見知らぬ相手との結婚を強要された。判決は原告の経済的被害を認定したうえで「元信者を違法な活動に従事させた」とし、教会に不法行為への使用者責任があると認めた。
統一教会は「主張が認められず遺憾。判決文を検討し、控訴したい」とのコメントを出した。
原告弁護団によると、統一協会を相手取り、全国7地裁1支部で提訴された「青春を返せ訴訟」の1審はこれで終了。訴訟は、すべて和解か原告側勝訴で判決が確定している。
「青春を返せ訴訟」が最高裁で争われた事例では、「青春を返せ裁判」(2000年2月9日)で最高裁は、被告同協会に対し、精神的損害としての慰謝料と献金やセミナー参加費の支払いを命じ、原告側の全面勝訴となった。判決は献金・物品被害だけでなく、信者に対して精神的損害が認められたこと、統一協会の勧誘・集金活動等が違法行為にあたると断定されたことで、今後の類似訴訟に与える影響が大きいとされている。