読売新聞などは17日、カトリック教会のタルチジオ・ベルトーネ枢機卿(ジェノバ大司教)がイタリアの新聞やラジオで語った話として、歴史ミステリー小説「ダ・ヴィンチ・コード」(ダン・ブラウン著、邦訳は角川書店刊)について「事実無根な事が含まれた恥ずべき本」と批判した、と報じた。
「ダ・ヴィンチ・コード」は、「キリスト聖杯伝説」をめぐる謎解きなどが主題で、イエス・キリストはマグダラのマリアと結婚し2人の間に子供がいた、などの内容を含む。読売新聞によると、同枢機卿は、これらの内容を特に問題視、同枢機卿の談話として「作り話なのに、読んだ人が本当の話だと誤解する危険がある」と話した。
共同通信が同日伝えたところによれば、枢機卿は「史実を曲げている」「1800年代の反教会パンフレットのような本」と非難、「学生の間で、読まないと流行に遅れるという風潮がある」と、同書による若者の教会離れを懸念する。
「イエスの結婚疑惑は作り話」と相手にしないキリスト教会が多くある一方で、キリストの結婚はキリスト教信仰に影響を与えないとの見方もある。都内の福音派の某牧師は「福音のメッセージは、完全な神であり完全な人であるイエス・キリストが私たちと同じ地上に生きたこと、罪びとである私たちに歩み寄り仕えてくださったこと、十字架上で死なれたあと復活されたことにある」「イエス・キリストが結婚していたとは思わないが、もし結婚していたとしても、キリストが死に打ち勝って復活され、私たちの真の命となった事実に変わりはない」と話している。
同牧師は「終末が近づけばサタンの働きも活発になる。牧師として、(信徒に)福音とは何か、信仰とは何かをしっかりと教えていきたい」と付け加えた。