国連総会は8日、加盟191カ国のうち決議を賛成84、反対37、棄権36で採択し、「人間クローン禁止宣言」(United Nations Declaration on Human Cloning)を承認した。国連広報部の発表で10日分かった。決議は、医療目的を含めたあらゆる人間クローン作成技術について、人間の尊厳と人命の保護に反するとして、その禁止をうたっている。クローン胚作成に反対するブッシュ大統領の米国、カトリック教会保守派の勢力が強い中南米各国が賛成に回った。
宣言に法的な拘束力はない。このため、医療目的に限り人間のクローン胚を容認する立場をとる、日本をはじめとする反対派、また政府から支援を受ける中国などの研究者は、宣言の採択に反対している。
米国や保守派キリスト教徒が多い国々、人工中絶に反対する国などは、医療目的のクローン胚研究緩和はクローン研究のエスカレートを招くと指摘するほか、ヒトクローン胚の研究は人間の命を奪う行為と反発している。