世界の子どもたちを性的搾取から守ろうと国連児童基金(ユニセフ)や世界観光機関(WTO)などが呼びかけ2004年春から米国などで採用されている「旅行・観光における行動倫理規定」(別名:コード・オブ・コンダクト)に、国内約1200社からなる「日本旅行業協会」のほか、JTBや近畿日本ツーリストなどの大手を含む旅行業界各社や旅行関連団体が3月中に調印する。
行動倫理規定は、?企業の方針で商業的性的搾取反対を規定する、?従業員の教育・研修、?業者との契約で子どもの性的搾取にかかわらない(搾取の報告があった場合、契約を反故)、?旅行者が目にする旅行ツールで商業的性的搾取問題に関する啓蒙と反対を呼びかける、?情報交換、?年次報告-- の6点を盛り込み、参加する組織は実施の義務を負う。日本ユニセフによれば、現在17カ国58団体が調印している。
国内では99年に制定された児童買春・児童ポルノ禁止法や04年同法改定に伴う厳罰化など、児童の保護に動きがあった。だが、日本は現在でも、米国務省が毎年発表する人身売買年次報告で「警戒が必要」(03年度)「児童買春、人身売買が深刻」(04年度)と指摘されるほか、人権世界会議でも児童や女性に対する性的搾取や人身売買などの人権侵害が依然として横行する国家として世界的に知られている。
社団法人日本旅行業協会の金子賢太郎理事長は昨年11月、日本ユニセフ主催の児童買春・ポルノ・人身売買問題に関するシンポジウムで「法律以前の問題として、日本人全体の意識を変えることが必要」と述べ、世界の旅行業マーケットに占めるシェアが世界一(同理事長)である日本のプロジェクト参加と運動の拡大に期待を示した。