北朝鮮による拉致被害者曽我ひとみさんの夫ジェンキンス氏が31日、新潟県佐渡市内で会見し、北朝鮮での生活やこれまでの心境を時折涙ぐみながら語った。報道各社が同日伝えた。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記について「邪悪な男と思う」と語り、「金体制下では、誰も彼に対する悪口は言えない。それが国民から搾取し、国民を抑圧する社会主義国家体制だ」などと批判したという(各紙)。
ジェンキンス氏は会見で、北朝鮮での苦難に満ちた生活や脱出を決心するまでの経緯などを語った。「最初の15年間は犬と同じようなひどい生活だった。」「金正日(総書記)がわたしたちを国外に出すとは、夢にも思わなかった」と告白。日本で暮らすことを決意した理由を「妻と娘たちを再会させ、娘たちを北朝鮮から脱出させたかった」と語った。
北朝鮮では、信教の自由などの基本的人権が保護されていない。最近は北朝鮮の国境に隣接する中国吉林省で脱北者の亡命を手助けしていた韓国人牧師、金東植(キム・ドンシク)さん(57)が2000年1月北朝鮮で訓練を受けた工作員に拉致されていたことが判明。韓国政府は中国政府に拉致事件に対する再捜査を要請したが、中国側は「具体的な手がかりがなく、捜査進展に困難がある」としている。
日本では、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母でクリスチャンの早紀江さん(68)ら被害者家族が連日、各地で拉致被害者の救出のための支援を講演会などで呼びかけている。
日本福音同盟(具志堅聖総主事、東京・千代田)は昨年11月の「迫害下にある教会のための国際祈祷日」にあわせて発表した祈祷課題で、北朝鮮について「最も残虐な迫害を受けている信徒たちの命が守られ、たえず臨在しておられる聖霊の助けを受けて、信仰と希望によって強められるように。」「イエス・キリストを救い主として大胆に告白する自由を味わうことが許されていない人々のために」として、日本の諸教会に祈りの手をあげるよう呼びかけた。