国境なき医師団(MSF)は、バンダ・アチェで移動診療を行う複数のチームを稼動させたのに加え、1日、沿岸の孤立した町ロク・ティモン(Lhok Timon)に仮設診療所を設けた。チームはMSFのヘリコプターを使って、診療に必要な物資とともに現地に派遣された。同団はまた、5日間ココナッツとバナナだけで凌いでいた1,500人の被災者に120キロの米を届けた。
同チームの報告によると、被災者は劣悪な環境下に置かれ、一つの小屋に20家族余りずつが身を寄せ合い、屋根を広げるためにビニール袋などを使うことを余儀なくされている状況だ。
MSFは近く、水・衛生専門のチームと医療チームをロク・ティモンに追加派遣し、さらに西海岸のほかの場所にも医療チームを送り込む予定。
一方、バンダ・アチェでは移動診療が続けられている。1日、2つのチームが3カ所で、津波によって家を失った人々の診察293件を実施した。3大症例は負傷(打ち身、やけど、手当が遅れて感染した切り傷)、呼吸器系の感染症、そして皮膚病(衛生状態の悪い環境に大勢の人が集まって暮らす場合によく見られる)という。
チームは足に負った傷が感染をおこしていた15歳の少年を、治療のためただちにバンダ・アチェの病院に搬送した。また心理療法士は、トラウマ体験を理解するための1時間のセッションを15人の被災者に対して行った。MSFの診療を受けたすべての人は心理的トラウマを体験していた。
バンダ・アチェでは現在、16人の外国人派遣ボランティアと20〜25人の現地スタッフが活動している。またスリランカ、インド、タイ、ミャンマーなどでも、多数のMSFチームが状況調査と援助活動を進めている。日本からはこれまでのところ2名がスリランカに派遣された。<国境なき医師団>