世界中で毎年、殺人による被害者は50万人、戦争による死者は23万人という推計をWHOがだした。しかし、自殺者はそれを上回る100万人だという。また、自殺防止のために働く専門家やNPOの調べによると自殺未遂者や予備軍はその10倍から20倍だといわれている。この現実を憂い、自殺者救済活動を続けている牧師がいる。
白浜レスキューネットワーク代表の藤藪庸一牧師(白浜バプテスト基督教会)、その人だ。藤藪牧師は2005年4月に、任意団体として白浜レスキューネットワークを設立していたが、今回、NPO特定非営利活動法人として活動するため、2月12日に白浜バプテスト基督教会で設立総会を開き、2月16日に申請書を和歌山県のNPO支援センターに提出した。「5月の上旬には認証されるのでは」と藤藪牧師は語る。
現在白浜レスキューミッションでは3つの働きをしている。
?自殺者救済活動
25年以上前、藤藪牧師の前任である江見太郎牧師が「いのちの電話」の活動が始めた。電話だけにとどまらず、実際に会い、相談を受けるようになった。現在でも藤藪牧師を通してこの働きは続けられている。電話は月に約100件。「年度末には精神的に病を抱える人が増える傾向があり、今月はもっと増えるのでは」と藤藪牧師は予測している。
?生活自立支援
保護した人々が自立をするには、経済など、現実問題の解決と共に心のケアも重要だ。これらの問題を解決していくために白浜バプテスト基督教会に隣接して立てられた同ネットワークの施設では、畑作りをして共同生活をしている。現在、3名の入居者中、2名は自立が可能なほどに回復し、同ネットワークのボランティアスタッフとして働いている。
?自殺予防策活動
自殺を考える人々の多くは、幼い時に友達がいない、ないしは現在友達がおらず人間関係に対して孤独であるという。同ネットワークではそれらの問題を踏まえ、自殺予防策として「はじめ人間自然塾」を行っている。街のパン屋の協力を得て、子どもたちとのドーナツ作り、秘密基地設計などの行事を催している。この働きを通して子どもから大人まで年齢を超えた集まりを実現していく。
NPOとして活動する趣旨について藤藪牧師は「公けに責任ある法人格を取得することで、より多くの人々の理解と賛同を得、現在の社会に蔓延している自殺問題解決への糸口を提供したい」「支援者のネットワーク化を目指し隣人と関わり、受け入れあい、愛し合う大切さを人々と分かち合い人類共同体として社会に寄与したい」としている。さらに、このように付け加えた。「NPOでは宗教活動は禁止されているが、これが窓口となり、より多くの自殺志願者がクリスチャンに出会う機会になれば」と語った。
同ネットワークでは、助け合いの輪を広げるために幅広く賛助会員を募集している。また、この働きに賛同する人々から施設運営のための寄付金や生活用品、食料品の支援も呼びかけている。
問い合わせは、白浜バプテスト基督教会(0739・43・8981)へ。