「外登法の抜本的改正を求める全国キリスト者1・24集会」が大阪カテドラル聖マリア大聖堂(大阪市中央区玉造2)で開催され、外キ協(外国人登録法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会)が、劇と礼拝を通じて外基法(外国人住民基本法)署名を呼び掛けた。同22日の協議会で話し合われた生存権と平和の回復を求めて、外基法の署名運動協力を要請。聖書の教える「互いに愛し合う世界」の実現を署名運動の基調として再確認した。集会宣言では「『平和と正義』の実現のために、『和解と共生』の福音で忍耐強く、共に歩み続けることを決意する」と宣言された。
集会は開会の祈りで開始。ゴスペルバンドによる「Amazing Grace」のアカペラ合唱を挟んで、外キ協事務局長・秋葉正二氏が挨拶の中で有事法制やイラクへの自衛隊派兵などの出来事を“生存権と平和への侵害”だと強調した。
連帯メッセージでは韓国基督教教会協議会(KNCC)総務・白道雄牧師が在韓外国人問題や北朝鮮・米国間の国交問題に触れた。在留外国人への対応が厳しい韓国では、不法滞在者を強制追放するなど人権保護のあり方が問題視されており、北朝鮮・米国間の和解も韓国の大きな課題とされている。白牧師は、KNCCが今後これらに全力で取り組むことを約束し、また、日韓両国の同問題に日韓の教会が協力して取り組んでいきたいと述べ、日本に協調を求めた。
集会中盤、在日外国人らが劇「ともに生きる世界のために」を演じ、日本での生活や母国文化について語った。各出演者の話の内容を以下に紹介する。
中国人留学生 「日本人は犯罪が増えると言って貧しい人を受け入れないが、その考え方は本当に正しいのか。日本も戦後、何も無いところから夢と体一つで今まで努力してきたのではないか。日本はこんなに豊かなのに、なぜ自分を幸せだと感じる人がいないのですか。毎年3万数千人の自殺者がいる。テレビを見て一緒に笑う私たち、違うところもあるが、同じところもたくさんある。」
ペルー人 「娘を養おうと日本に来ました。ビザの申請を忘れていたことに気付き、入国管理局に行ったところ、手錠を掛けられ、収容所に入れられました。ひと月30分だけの面会時間、家族に触れることも許されない。釈放されるまでの2年間、妻がどれほど辛い思いをしたことか。日本人の血を持ってないからですか。肌の色が違うからですか。子供たちが日本で安心して生活でき、思う存分勉強できるように頑張ります。」
ベトナム人 「ベトナム戦争の影響で両親と出国。難民として国々を転々とした後日本に来た。時給450円の貧しい生活だったが、シスターたちに助けられた。名前が変だといじめられた。外国人登録申請書が送られてきて、その時初めて自分が外人だと気付いた。登録カードをいつも持っていなければならない。私は無国籍。どうして日本は難民を受け入れてくれないのか。税金を払っても参政権がないから、政治に働き掛けることさえできない。日本に住みたくても住めない人がいる。外国人が日本で暮らすことは本当に難しい。」
在日3世韓国人 「祖母が8歳のとき日本に来た。韓国併合で家や土地を失った。戦後、在日は健康保険に入れず、高い医療費を払えなくて子供を死なせた。住まいを探しても“外国人はお断り”“日本人の保証人が2人必要”など。就職も難しい。拉致事件があって以来、朝鮮学校の子供たちが襲われることもある。好きで在日として生まれたのではないのに。」
日本人 「私たちや教会の中に、外国人に対する偏見は本当にないのか。背景を汲み取らずに犯罪ばかり取り上げてないだろうか。本当に民主主義で先進国といえるのか。日本人だけが幸せでいられれば良いのか。他は幽霊みたいに扱い、籍がないと人として扱わない。外国人が暮らし難い社会は、日本人も暮らし難い社会ではないでしょうか。私たちには愛する心が必要です。」
礼拝はヨハネ17章21−23節から、共同祈願3項( 一、主が教えてくださったように愛し合える社会となるように力を与えてください 一、誰もが一人ひとり大切であるという心が芽生えますように 一、外基法に関わる私たちが国際化と世界平和を導く者となるように ---)を宣言した。聖公会大阪教区主教・宇野徹氏が祝福の祈りを捧げた。
署名用紙は以下のサイトからダウンロード可(PDF形式)
http://www.osaka.catholic.jp/sinapis/office/2003/gaikiho-shomei.pdf