【ロンドン(AP通信)】世界的に売り上げを伸ばす陰謀推理小説「ダ・ヴィンチ・コード」著者のダン・ブラウン氏を盗作の容疑で訴えている訴訟依頼人の弁護士が月曜日、ダン・ブラウン氏の著書の中の証言は深い疑惑をもって扱われなければならないと警告した。
マイケル・ベイジャント氏とリチャード・レイ氏は「ダ・ヴィンチ・コード」出版社のランダムハウスに対し、ブラウン氏の著書は1982年に出版されたベイジャント氏とレイ氏によるノンフィクション小説『レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説』の構想を適用しており、どちらの小説も神学者らによって却下された理論である、イエスがマグダラのマリヤと結婚して、一子を儲け、その血統が今も存続しているという理論を探求しているとし、自分たちの以前書いたノンフィクション小説と全く同じ歴史的推測を行っているとして訴えた。
もしベイジャント氏とレイ氏がこの小説の盗作を禁止させることに成功すれば、5月19日に公開予定の映画「ダ・ヴィンチ・コード」の公開が延期になる恐れがあるという。ソニー・ピクチャーズ社は、映画は予定通り公開される予定だと述べている。
月曜日に裁判所に提出された声明文によると、レイナー・ジェイムズ弁護士はブラウン氏に対し、『レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説』の構想を盗んでおり、ブラウン氏は、ブライズ・ブラウン夫人によって集められた文献を参照したためそれを確認せずにうっかり適用してしまったのだと述べた。ブラウン氏の妻ブレイズ・ブラウン夫人は、『ダ・ヴィンチ・コード』の制作のために多くの文献を集めた功労者である。
今回の裁判においてレイナー・ジェイムス弁護士は、「ブラウン氏の小説に適用された文献には深い疑惑を持つ必要があります」と警告した。
レイナー・ジェイムズ弁護士は、ブレイズ・ブラウン氏の集めた文献が今回の裁判において重要な鍵を握っていることを述べた上で、ブラウン夫人は「ダ・ヴィンチ・コード」がベイジェント氏とレイ氏のノンフィクション小説に依存していることを承認するだろうと主張した。
ブラウン夫人の夫である「ダ・ヴィンチ・コード」の著者ダン・ブラウン氏はレイナー・ジェイムズ弁護士に対し、「妻の集めた文献のことについてはほとんど知らなかった」と主張している。
ブラウン氏はブラウン夫妻が『ダ・ヴィンチ・コード』制作にあたって『The Holy Blood and the Holy Grail』を読んだことを認めたが、この作品が彼らの著書に根本的な影響を与えたわけではなく、その他にも38件もの文献を使用していると述べた。
金曜日、出版社ランダムハウス社の弁護士ジョン・ボールドウィン氏は、ダン・ブラウン氏の著書では多くの事件をダン・ブラウン氏独特の方法で一つにまとめ上げているとしてブラウン氏を弁護した。
ボールドウィン氏は、「著作権保護の適用範囲を過度に拡大しすぎています。原告の主張は著作権保護適用外の部分にまで及んでいます」と述べた。
ボールドウィン氏による反対尋問下で、ベイジャント氏は原告による「ブラウン氏は『The Holy Blood and the Holy Grail』と全く同様の歴史的推測を行っている」などの何点かの申し立ては間違いであったことを認めている。