国連総会において今まで多くの批判にさらされていた国連人権委員会に替わるものとして新国連人権理事会を設置する決議案が圧倒的多数によって水曜日議決された。
数ヶ月における白熱した交渉を経て、170票の賛成票と米国、イスラエル、マーシャル諸島共和国、パラオの4カ国の反対票、ヴェネズエラ、イラン、ベラルーシの棄権によって新国連理事会の適用が議決された。
国連事務総長は新人権理事会の設置案を一年前に総会に提案しており、この新人権理事会によって国連に世界のあらゆる人権問題に対して新たな活動を行うチャンスを与えるだろうと期待していた。
国連総会会長ジャン・エリアソン氏は国連人権理事会が国連総会の付随組織としてより高い地位を占めるようになったこと、一年間に開催される議会の数が増加したこと、地理的に均等に各国代表者が出席できるようになったこと、投票権が拡大したことなど多くの重要な改善が成されたことを強調した。
新国連人権理事会は47名によって構成される予定で、その47名を決定する最初の選挙が5月9日に行われるに伴い、国連人権理事会初の議会が6月19日に行われる予定である。
ワシントンD.C.を拠点とするキリスト教超教派人権擁護団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC)は木曜日、新国連人権理事会は私たちキリスト教徒が求めているものとしては成立しなかったが、それでも『欠陥を抱えた』国連が考え出したものとしては最善の組織ではあるかもしれない、と述べた。
ICC会長のジェフ・キング氏は米紙クリスチャンポストに対し、「今回の新人権理事会の設立は基本的には国連加盟国の互いの歩み寄りの結果だと思います。キリスト教界が関わる分野に限定する限りで言えば、今回の新人権理事会は私たちが探し求めていたものではありません。しかし、国連という組織がそもそも欠陥のある組織ですから、その国連が考え出したにしては最善の組織であるとは言えるでしょう。基本的に、古い組織は多くの組織の性質を自分たちのために悪用しようとする人々に満ちています。そしてときに、自分たちの身を守るためにその古い組織を利用しようとすることもあります。ですから、国連はそれらのことに気づいておりますし、だからこそ、このような問題に対処するためにこのような新たな人権理事会を組織しようと提案したのです」と述べた。
今回の新人権理事会でキング氏は、より頻繁に議会を行うこと、組織をより小さなものにすることなどにおいての改善を賞賛したが、同時に今回の新理事会をもってしても、まだ組織の規模が大きすぎると批判した。また理事会に一カ国が加入するのに国連総会で3分の2以上の賛成票を必要とするという提案が却下されてしまったことに失意の念を表した。
キング氏は、「米国は新人権理事会の設立に反対しました。それはこの新組織が今まで以上に悪用されやすいものになり得るから反対したのです。今回の新人権理事会は理事会の不正使用やその運営システムが悪意によって間違った方向に流されやすい危険性をはらんでいるものだからです。ですから今回の新人権理事会の設立は私たちが望んでいたようなものではありませんでしたが、それでもこの新組織の成功を祈りたいと思います。ただ私としては今回設立された新組織は非常に脆弱なものになるだろうといわざるを得ません」と懸念の意を表したという。