米国聖公会カリフォルニア教区で次期主教に同性愛の男女を推薦したことを受けて、世界アングリカンコミュニオン内における同性愛問題に対する議論が再び盛り上がってきた。
英国国教会新聞によると、カリフォルニア教区にはシアトル教区の同性愛聖職者、ロバート・テイラー主任司祭および、シカゴオールセイント教会同性愛聖職者ボニー・ペリー牧師が今年5月の主教候補に推薦された5名のうちに含まれているという。
同性愛人権団体"Integrity"は今回の2名の同性愛者が主教推薦リストに上がったことを歓迎し、「ロバート牧師、ボニー牧師が今回カリフォルニア教区主教に任命されようがされなかろうが、今回の選出は米国中の多くの同性愛の男女が聖職者として任命されることができる大きな出発点となったと思います。」と述べた。
2003年に米国聖公会がニューハンプシャー州の聖職者に同性愛者を選出したのを受けて以来、同性愛問題に対する議論は米国において高まっている。それ以来世界アングリカンコミュニオンはほぼ地理的に分裂しているという。つまり、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの聖公会は保守的立場を取っているのに対し、北アメリカ、ヨーロッパにおいてはよりリベラルな考え方を受け入れている状況にあるという。
世界アングリカンコミュニオンの長にあたるカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ博士の指揮下にアングリカンコミュニオンは"Windsor Report" と呼ばれる100ページにわたる調査報告書を発刊し、これら対立する両者の対話のための指針を指し示している。現在米国聖公会に対し、同性愛者の主教任命を行うのはもう少し待つよう促しているという。
このような米聖公会カリフォルニア教区の動きに対して、ウィリアムズ大主教は懸念の意を示している。
ウィリアムズ大主教は、「同性愛問題における私たちアングリカンコミュニオンの教義や指針に対して変化が生じるとすれば、それは全体として話し合って修正されなければならず、一教会のみの独自の判断で修正されるべきものではありません。教会はこのような劇的な変化に対してもっとも高いレベルの会議を開いて合意を得なければなりません。」と述べた。
米国聖公会カリフォルニア教区では、主教に選出されるには候補者は5月のカリフォルニア教区内の投票において過半数を獲得しなければならない。その後過半数を獲得した候補者が6月に開かれる米国聖公会総会において主教に任命されるという。