「次世代を強く動かす感動を」をメッセージに、第20回冬季オリンピックがイタリアトリノで開催された。
国際オリンピック委員会会長ジャック・ロゲ氏は金曜日に開会式出席者3万5千人とテレビ越しの20億人以上の人々を前にして、「オリンピックスポーツ選手は模範的な役割をします。公正な試合を行う相互理解、相互尊重の精神をもって、どうかドーピングするようなことなく競技に挑んでください。今日の私たちの世界においては平和、寛容、兄弟愛が強く求められています。オリンピック競技をとおしてそのような価値観を私たちに恵み深く運んでくれることを願います」と述べた。
さらにロゲ会長は、おそらく欧州メディアによるイスラム風刺漫画騒動のことをほのめかしたと思えるが、「このオリンピックの試合が、オリンピック中は戦争も停戦するという本来の精神をもって平和のうちに行われますように。スポーツというものが政治的、宗教的、言語的障壁を乗り越えて私たちをひとつにし、私たちが長らく願っていた世界を示してくれるものであることを世界に証しすることができますように」と付け加えた。
金曜日の祝典は16日間にわたる競技の始まりで、イタリアのキリスト教徒は信仰と平和の福音を共有するこの絶好の機会のために準備を重ねていたという。
福音団体のオリンピックアウトリーチ事業"More Than Gold"を企画した一人ルカ・ブリニョロ氏は、「私たちはイタリア国内50箇所に教会を構えています。またその大部分はトリノにあります。また私たちは海外、主に米国から多くの宣教団体をオリンピックアウトリーチ事業に招き入れました」と意気込みを語った。
福音団体諸派が協力して事業を行うのは実際容易なことではなかった。ブリニョロ氏はミッションネットワークニュース(MNN)で、「実際に全ての福音団体諸派がトリノで共に"More Than Gold"の傘下で働けることを非常に幸せに思います」と喜びを語った。
イタリアでのアウトリーチ事業は、全ての教会が共に冬季オリンピックでイエスキリストの愛を共有するための先導的役割を担っている。
オリンピックスポーツ関連宣教会会長のマルティン・ベイトマン氏は、「このアウトリーチ作業の主な目的はスポーツに関わる人々に奉仕し、本やビデオを通して訪問者や運動選手に福音の手を差し伸べることです。このようなイベントでは私たちは多くの国からボランティアとしての働き手を得る事ができます」と語った。
ベイトマン氏はイタリアの福音教会のために祈っている。イタリアの福音教会は規模が小さく、福音宣教にあまり効果的に機能していないという。ある報告によるとイタリアの福音教会は、1%にも満たない日本のキリスト教徒の人口と同じような状況にあるという。
「オリンピックのような大きなイベントは、より多くの人に宣教するチャンスになる」とベイトマン氏は希望を語った。
アウトリーチ事業の一環として、ボランティアチームがトリノとその周辺地域の訪問者に働きかける一方、施設付き牧師はオリンピックの行われる全ての地域で運動選手に奉仕する予定であるという。ボランティアは食べ物、飲み物、書物を配布し、スポーツ診療所を設置、芸術活動やフェイスペインティングを含む「創造的な宣教」に取り組む予定である。
2月18日から計画されている大きなイベントではすべての福音諸派が参加するという。"More than Gold"は4000人収容可能のアリーナをこのイベントのために備えている。
ベイトマン氏は、より多くのイタリア人がこのイベントで福音に対する興味を持ってスポーツ宣教に加わることができればと希望を語った。
ベイトマン氏は、「スポーツを通じて多くの事業を行う機会があります。私たちはイタリアのキリスト教徒が一つになって福音を広めることに貢献できればと考えています。そして私たちスポーツ関連宣教会を通して近い将来、イタリアで世界規模のスポーツトレーニングプログラムを運営することができればと願っています」と語った。
一方カトリックニュースサービスによると、カトリック教会はトリノ中の教区教会が大衆に門を開く予定である。トリノの三つの教区でコンサートを開催し、特別展示会や複数言語による特別ミサが捧げられる予定である。オリンピック精神みなぎるイベントにカトリックの神聖なる伝統を付与することで、今回のオリンピックで世界中から洗練されたスポーツ選手が共に集まる中での平和、兄弟愛に満ちた雰囲気、そしてキリスト教の愛と慈愛の道徳的価値を調和させることを期待しているという。
オリンピックスポンサーが観戦者に対し無料提供品の供給を予定している一方、地元のカトリック、ワルドー派、正統派教会は今回のオリンピック用に特別に編成されたマルコの福音書を配布する予定である。