ヴェネズエラ大統領ヒューゴ・チャヴェス氏が、国内部族を対象とした宣教師団体"New Tribes Mission"の活動はスパイ行為に当たるとして退去命令を下したことを受けて、退去期日数日前の9日、ついに最後のベネズエラ宣教師夫妻が宣教開拓地から撤退した。
中東では自由権の拡大が叫ばれているにもかかわらず、宗教的迫害は未だに深刻である。キリスト教信仰に対する敵意はとりわけ増加しているように見える。
59年もの間ヴェネズエラ部族を宣教した、主にアフリカ出身のおよそ40人の宣教師が、悲しみの中で部族民族居住地域からプエルトオルダスの拠点に引き返した。
チャベス大統領は11月、1953年以来開拓地で宣教活動を続けてきたベネズエラ宣教師団体に対し、司法省が開拓地における宣教活動許可取り消しを宣言した日から90日後の先週日曜日までに退去するよう命令した。
この秘境の部族に対して何十年も行ってきた宣教活動を廃止するという命令に、宣教団体はこのまま引き下がるか政府決定を覆すために法的な戦いに挑むかどうか現在考え中だという。
宣教団体広報担当者マルコ・ブリトー氏は、「これは完璧な敗北ではない。何が起こるかはこれからわかる」と述べたという(AP通信)。
政府命令取り消しを求める宣教団体の要求は最高裁に取り上げられた。最高裁は、宣教師は部族地域から90日以内に撤退せよとの政府の期日を延期すべきではないとしたが、今回、この決定が憲法的に合法であるかどうか調査する要求を受け入れたという。
この宣教団体によると、政府決定を覆す手続きは現在進行中ではあるが、最終決定には一年程かかる見込みだという。
昨年10月12日、チャベス大統領は宣教団体に対し、アマゾナス、ボリバル、アプレ、デルタアマクロの部族居住地域からの撤退命令を下した。チャベス大統領は宣教団体を海外鉱山業者や製薬会社、およびCIAと共謀したスパイ行為を行っているとして告発している。
今回は国外退去にはされなかったが、宣教団体からは政府が今後そのような決定を発表しかねないと危惧する声も出ている。
ヴェネズエラの何千人もの部族は昨年11月、宣教団体を支持し、政府決定は宣教団体に虚偽の事実を公表しているとして反対の意を表明した。
宣教団体は、ヴェネズエラ政府は宣教団体の使命や米国との関係性を誤認していると主張している。またベネズエラ宣教団体は政府当局による視察も受け入れている。
"New Tribes Mission"はプロテスタント福音団体として、世界の最も未開の地域で生活する3000部族に宣教活動を展開している。