パキスタン政府は9日、同国北部で8日発生した大地震の死者数が1万9千人を超え、約4万人が負傷したと発表した。パキスタンの大統領報道官によると、現在のところ連絡がとれていない地域が大部分で、犠牲者は数倍にも増える恐れがあるという。
米地質調査所によると、震源地はイスラマバードの北東約95キロで、震源の深さは約10キロ。揺れはアフガニスタンのカブール、インドのニューデリー、バングラデシュのダッカなどでも感じられたという。
AP通信によると、イスラマバードで9日、記者会見したパキスタンのシェルパオ内相は、死者のうち約1万7000人は同国側のカシミール地方の住民だったと報告した。パキスタンなどを襲った今回の地震はマグニチュード(M)7・6と報告され、後に7・7と上方修正された。同内相は、南アジアでは最近100年間で最大の規模の地震だったと述べた。
キリスト教系NGO「ワールド・ビジョン」のパキスタン支部は10日までに、公式サイトで「複数の村が地震で壊滅、道路が寸断され救助が難航している」ことなど現地の被害状況を報告した。首都イスラマバードなどでは、倒壊したアパートや学校などで生き埋めとなった住民の救出作業が続いている。同支部には現地の住民から救助活動や遺体の埋葬の依頼が殺到しているという。同支部からは被害が最も大きい3地方に向けて救助チームを派遣、現地で救助活動にあたっている。
米CNNがパキスタンの大統領報道官の話として伝えたところによると、同国では多くの村が消滅したほか、インドとの紛争地域のパキスタン側カシミール地方の山岳地帯に最も甚大な被害が出ているもようだ。
インドとパキスタンは、カシミール地方の領有権をめぐって緊張状態にあるが、インドのシン首相は8日、パキスタンへの支援を表明。パキスタンのムシャラフ大統領は、感謝の意を表明した。
国内各紙によると、国際機関や各国・地域が9日までに相次ぎ緊急支援を表明した。ロイター通信によると、国連緊急援助調整官室(OCHA)は9日、10万ドル(約1130万円)の緊急資金を拠出。国際赤十字・赤新月社同盟も20万スイスフラン(約1780万円)の拠出を決めた。米国は10万ドル(約1130万円)、オーストラリアは約38万ドル(約4300万円)、オランダは100万ユーロ(約1億3800万円)の緊急援助を表明、日本も援助物資として毛布など2500万円相当の供与を決めている。 中国は、現金と支援物資を合わせて620万ドル相当を提供することを決定した。
英国は60人規模の救援チームを派遣し、資金拠出も約束。中国、韓国、フランス、ドイツ、トルコ、ロシアなどが人命救助の専門チームなどを現地に派遣、または派遣する用意を進めている。
また、OCHAは9日、国際社会の緊急拠出を求める支援国会合を10日にジュネーブの国連欧州本部で開くことを決めた、と共同通信が伝えた。