世界最大のキリスト教人道支援団体のひとつ、ワールド・ビジョン(WV)の国際本部が北朝鮮に対する食糧支援などの関係を今後も継続する方針を固めたことが8日までにわかった。北朝鮮は先月22日、人道支援事業の年内打ち切りを国連などに求めていた。
7日付の米紙クリスチャンポストによると、リン・アーノルドWVアジア太平洋副代表は3日(日本時間4日)、同紙に対し、北朝鮮に対する支援を継続し「長期的な関係と成果によって信頼と変化がもたらされると信じる」と説明した。
WVは北朝鮮国民への支援を10年間継続してきた。この期間、WVは同国内に食料麺工場を建設し、麺の生産を通して国民の自給を支援した。
アーノルド氏は「あらゆる市民や共同体と対等に接し、彼等の生産力と自給力を高め、さらに向上心を育てることがWVの基本理念だ。これは簡単な作業ではない。しかし、これらを達成するため、我々は思慮深く、忍耐強く、熱心に、信仰をもって取り組むべきだ」と語った。
北朝鮮内で活動している外国の非政府組織(NGO)は12団体。WVはこれら在北の団体に含まれていないが、年間平均3−4回、同国を訪問して政府幹部と面会し、支援プログラムを実施している。
北朝鮮が人道支援事業の打ち切りを要求する真意についてはNGO諸団体が調査中だが、「北朝鮮への支援は継続するべき」との認識が一般的だ。
北朝鮮は、食糧難の深刻化した1995年以降、世界食糧計画(WFP)や国連食糧農業機関(FAO)など多数の人道支援団体から食糧等の援助を受けてきた。ききんによる同国内の被害状況については、複数の国際機関が「200万人以上が餓死した模様」との研究結果を発表している。
北朝鮮が今年の穀物生産について、’95年以降で最高となる500万トン近くに達するとの見通しを今月発表した。だが、WFPは「国際社会からの支援がなければ依然として不足分は大きい」とみている。