米CNNなどによると、米連邦最高裁は27日、公共施設に旧約聖書の「十戒」を掲示することの是非が問われた2件で、宗教色が色濃く提示される場合は違憲だが、宗教色が薄ければ合憲との判断を下した。
最高裁は、テキサス州議会内に設置された「十戒」碑について、米国の歴史に関する記念碑のひとつとして、他の記念碑と同様、法の歴史に対する敬意を示すものとして合憲とした。
一方、ケンタッキー州の郡裁判所内に掲げられた十戒の額について、政教分離の原則に反すると判断した。今回の判断は、十戒掲示の目的が中立であれば容認できるとした。十戒は全米の多くの公共施設に掲示されており、各地で違憲訴訟が起きている。今後、同様の訴訟が続くとみられている。
この2件の裁判で、判事9人の意見はいずれも5対4と分かれた。
米紙「クリスチャンポスト」によると、ケンタッキー州の裁判で「十戒の掲示は違憲」と主張したデビッド・スター判事は、特定の宗教を奨励する政府の姿勢は政教分離の原則に反すると述べた。
一方、擁護派の意見文を作成したアントニン・スケリア判事は「十戒の掲示は、米国の建国理念や歴史的背景からして宗教的中立性を欠かない」と主張した。