世界の聖公会の組織、アングリカン・コミュニオンの中央協議会(ACC)が21、22日の両日、英国ノッティンガム市で開かれる。米国とカナダの両聖公会は同性愛に対する神学的見解を発表する予定。見解が正統と認められない場合、両聖公会が2008年のランベス会議までにコミュニオンから脱退する可能性は極めて高くなる。
今年2月、コミュニオンの最高幹部らは、同性愛者の聖職就任を容認する米国とカナダの両聖公会に対し、コミュニオンからの脱退を勧める声明を発表していた。残留には「同性愛に関する自由主義神学の説明」「議場の承認」が条件としている。
米国聖公会は'03年10月、世界の全聖公会の強い反対を押し切って、同性愛者であることを自ら認めているジーン・ロビンソン氏(56、当時)を主教に就任させた。
カナダ聖公会ニューウエストミンスター教区は'04年、同性カップルの祝福が可能となるよう教会憲法を改定した。国内外の聖公会福音主義派からは祝福の中止と教憲改正を求める声が上がったが、カナダ聖公会は要求に応じなかった。
事態を重く見たコミュニオンは、米国・カナダ両聖公会に対し、全世界の聖公会の一致を崩壊させたことに遺憾の意を示すよう求める声明(04年10月『ウィンザー・レポート』)を発表した。
これに対し、米国聖公会は「同性愛聖職者の誕生が聖公会の分裂危機を招いたことは遺憾」とする声明を発表。一方、「同性愛に対する認識に変わりはない」とした。
聖公会の福音主義派の主教らは、米国聖公会に対し、遺憾以上の「後悔」の意を示すよう求めたが、米側は無視した。
現在、全聖公会の約7割は米国聖公会との交流を打ち切り、米国聖公会をコミュニオンから排除するようカンタベリー大主教に迫っている。