中央アジア・ウズベキスタン東部での暴動事件で、治安部隊の銃撃などで負傷した市民が当局によって病院に搬送され、そのまま院内に監禁された後、行方が分からなくなっていることが分かった。中央アジア情報誌「フェルガナ」電子版が10日までに伝えた。同誌は、負傷者が当局により病院から連行され、反体制運動を行ったことを理由に何らかの処分を受けている可能性を指摘している。
同誌によると、負傷者が収容された病院は軍部に警護され、家族の面会や収容人数の公開も認められない。カリモフ政権は、軍が銃撃したのは過激派だけで、一般市民は撃たなかったと強弁している。このことから、同誌は、負傷者は「過激派」とみなされ、最悪の場合、政府捜査機関が頻繁に行う拷問を受け、過激派との関係を認めさせられ投獄される可能性があるとしている。
現在、複数の人権保護団体が暴動事件に関する調査を行っている。米国に本拠を置く団体「人権監視(HRW)」は9日までに、暴動事件は治安当局による市民の虐殺だったとする聞き取り調査結果を発表した。「数百人」とされている犠牲者数について、政府の発表は虚偽に満ちているとして「断定できない」とした。北海道新聞やAP通信英語版が報じている。
また、事件後キルギスに避難したウズベク難民50人以上と面談し、事件当時の状況に関する証言を集めた。同新聞によると、調査結果では、5月13日の集会に参加していた非武装の市民ら数千人に対し、一部の例外を除いて無警告で発砲した。翌日には装甲車が市内を回り、負傷して路上に横たわる市民を銃撃してとどめを刺した。その後、治安当局は女性、子供、老人の遺体をトラックで搬送し、男性の遺体は残された。
HRWのロス会長代行は、犠牲者は発表の数倍に上ると述べ、政府が虐殺の痕跡を隠蔽しようとしていると語った。