超宗教の国際会議(テーマ:「超宗教的対話における重大な局面」、世界教会協議会=WCC主催)は9日(現地時間)、キリスト・イスラム教間の緊張緩和について集中的に議論が交わされた。
両宗教の指導者はこの日、イスラム教の聖戦観とキリスト教の救済論が最近メディアによって誇張される傾向にあるとの共通認識を確認した。その上で、世界の人々の求めに応答しようと、積極的に共通の基盤を取り戻す姿勢を示したことが、新しい希望を生み出したと相互評価した。
分科会の講師を務めたイスラム教学者、タリク・ラマダン博士は「すべての宗教共同体が重大な局面を迎えている。相手に対する不信感と疑念を互いに募らせている。キリスト教とイスラム教の場合、双方が宇宙的真理を主張しているところから軋轢(あつれき)が生じている」と分析した。
9.11のテロ攻撃が世界各地で報道されると、キリスト教徒とイスラム教徒の間にあった緊張はバランスを失った。「国際化時代を迎えた人類は、対立や認識までも国境を越えて共有するようになった」と指摘するのは、ターレク・ミトリWCCイスラム・キリスト教間対話部門総主事。総主事は、欧米文化に対するイスラム教世界の先入観、イスラム文化に対する欧米の先入観の存在を指摘した。
この意見と関連して、ハタミ・イラン現大統領の顧問、モハンマド・アリ・アブタヒ前副大統領は、円滑な情報交換が両宗教の指導者の緊張を和らげる上で効果的だと提案した。
ラマダン博士は、欧州を中心に精神的・霊的な渇望が広がっているとの懸念を示し、「キリスト教とイスラム教は、現地の人々や社会共同体と連携して、価値観の過渡期を迎えた現代に働きかけるべき」と述べた。また、このためには社会問題の解決に最も適した、普遍的価値観の発掘と研究が急務とした。
またラマダン博士は、従来の超宗教的対話が神学や社会政治上の問題に関する議論で終始していたと指摘。行動へと繋がる対話のためには、神学的要素を減らすと同時に、神学と教えをどのように生活に結びつけるかを共通課題として再考することが必要と語った。