チェチェン武装勢力とみられるグループによるロシア・北オセチヤ共和国ベスランの中等学校占拠・人質事件は3日、子供を含む多数の人質の命を奪い、死者は322人(ロシア検察当局発表)という悲劇的な結末となった。人質の病院に収容された負傷者も704人。4日未明(日本時間同日朝)までに、ロシアのアスラハノフ大統領顧問が「人質は1200人いた」と明かした。現時点で人質のうち8割以上が死傷したことになる。
米国のキリスト教情報誌ミッション・ネットワーク・ニュース(MNN)電子版によると、人口3万5000人のベスランではロシアの宣教団体ロシアン・ミニストリーズが活動しており、団体を支援する米国団体の代表は同誌に対し、占拠された中等学校には事件当時2人の会員と会員の子どもたちがいたと明かした。会員のうち一人はベスラン地区の責任者で、もう一人は現地で教会を牧会する牧師という。2人は実の兄弟で、子どもが8人おり、全員がこの学校に通う生徒とのこと。
事件発生時に学校のグラウンド周辺で作業をしていた同団体のジェナディ・タークン理事によると、9月に新年度を迎えたばかりの生徒たちの多くは、8月下旬にロシアン・ミニストリーズ主催の夏期キャンプから帰ってきたばかりだった。
また、ハンガリーのバプテスト団体と協力関係にある米国の宣教団体ミッション・ベラの関係者の話によると、現地のバプテスト教会牧師の子ども3人、同教会の教会員の子ども5人のほか、教会に通う数人の子どもたちも人質となっており、安否は不明。
事件では、メディアの報道を受けて、当局者が前言を撤回するケースが目立った。露当局の情報統制の体質が露呈した形だ。当初「354人」と発表された人質数について、アスランベク・アスラハノフ露大統領顧問(チェチェン問題担当)は3日夜、「約1200人に上っていた可能性がある」と記者団に語る形で、実質的に修正した。「1200人」という数字は、3日付の複数のロシア紙が、解放された人々への取材をもとに報じていた。被害の状況もメディア各社が「死者数200人以上」と報道し、露当局は4日朝(日本時間4日昼)になるまで沈黙したままだった。
AP通信によると、武装勢力の約3人が子ども数人を人質として現在も逃走中との情報がある。
(情報源:AP,ロイター,ChristianPost.com)