【米国=ChristianPost】“霊的純潔”の保持をめぐる議論が過熱している合衆国長老教会(PCUSA)で、教会が相次いで教団脱退を表明している。米国の第一長老教会(ミシシッピ州)は去る四月二十日に合衆国長老教会からの脱退を表明し、同問題を理由に教団を後にする教会では四番目となった。六月に開催される教団総会を控えての今回の脱退声明は、教団内で霊的純潔を強調する福音派と多様性の中で一致を求める自由主義派との間に以前からあった緊張が表面化したものだ。
第一長老教会以前に脱退した三つの教会は、福音長老派教会(EPC)への加入を決定している。一方、第一長老教会は、米国長老教会(PCA)加入案を賛成多数(賛成票七十五、反対票一)で可決した。この四教会はいずれも合衆国長老教会で実施しているコンフェッシング・ムーブメント(告白運動)に参加していた。この運動は教団内の改革派教会群で構成された連絡会で、同性愛者の聖職着任や同性同士の”結婚”式を拒否している。
第一長老教会は脱退の理由として、二年間にわたる所属教区側との交渉期間中、同教区内に福音派の立場をとる牧会者を見つけられなかったことを挙げている。同教会の会員は、合衆国長老教会の指導者たちが部分分娩中絶(※1)や同性愛者の聖職着任を容認したことについて強く非難している。
米国長老教会は、メインライン(主流各教派)からの離脱当時教会数260、会員数4万1千人だったのが、三十二年後の現在は教会数1千4百、会員数40万人を有している。
同じく福音改革派の流れをくむ福音長老派教会(EPC)は、一九八一年の創立当時に12教会だったのが、二〇〇三年で教会数191、会員数7万5千に成長した。
米国長老教会と福音長老派教会の相違点は女性の教会職着任権に見られる。米国長老教会は女性が教会職に就くことを教会規約で認めていないが、福音長老派教会は女性の牧師、長老、執事職着任を認めている。
※1 部分分娩中絶(Partial-birth Abortion)= 妊娠後期に胎児の頭部を子宮内に残して全身を母体の外に引き出し、胎児の脳を吸い出して中絶する手法。〇三年十月にブッシュ米大統領がこの中絶方法を禁止する法案に署名し、成立したが、同法に対して一部の医師や女性の権利団体などが強く反発している。