日本福音同盟(JEA)は、北海道・札幌市で開かれた第21回総会で6日、「21世紀における日本の教会の課題」と題して公開シンポジウムと公開講演会を開催。公開講演会では、日本基督教団総会議長の山北宣久牧師が講演した。日本基督教団総会議長がJEA総会で講演するのは今回が初めて。
6日午後2時からの公開シンポジウムでは、各委員会がそれぞれシンポジウムを開いた。女性委員会では、委員長の神津喜代子氏が講演。その後、参加者らによるシェアリングの時がもたれた。
神津氏は講演の中で、自らがキリストへ導かれる経緯を包み隠さず証しした。以前は政治家を志望し、夫や子どももかまわず仕事中心の生活、キリスト教にはまったくの無縁であった。
家庭を置き去りにして仕事に没頭する神津氏に、ついに教職に就いていた夫が激怒。一時は何もかもが暗闇のように見え、一人泣いていたという。神津氏はそのとき初めて、自然と神に祈りを捧げていた。そこではっきりと神の存在を自覚し、キリストの救いに導かれたのだった。
「そんな自分をキリストの救いと導いたのは、自分の救いのために切なく祈り続けてくれた1人の友人の祈りだった」と熱く語った。
神津氏の講演会終了後、公開シンポジウム参加者らはそれぞれの状況に応じて「未信者の家族と生きる」「クリスチャンホームとして生きる」「牧師夫人として生きる」「ひとりの女性として生きる」の4つのグループに分かれ、講演会の感想や互いの生き方に関する意見を分かち合った。
女性委員会の公開シンポジウムには、札幌各地の教会の信徒、教会関係者らが参加。それぞれのグループで活発に議論が行われた。
同会場で午後6時半から行われた公開講演会では、日本基督教団総会議長の山北宣久牧師が「日本の教会の課題・今後への展望」と題して講演した。
山北牧師は、現代社会は拝金主義(マタイ6:24)、利己主義(フィリピ3:19)、世俗主義(ヤコブ4:4)、虚無主義(コヘレト1:2)、冷笑主義(マタイ25:24)、快楽主義(?テモテ3:4)に汚染されていることを指摘。
さらに日本教会全体の今後の課題として、キリスト教への献身者が不足することにより無牧教会が増大すること、教会学校生徒の激減(現在の教会学校生徒数は30年前の2割にしか至らない)、教会財政の行き詰まり、そして霊性の枯渇などをあげた。
これら深刻な諸課題に対する対応策として教会がやらなければならないことは、ヒューマニズム、アナーキズムへの傾斜・転落に歯止めをかけること、神のことばの優位性、絶対性を確保し、福音への確信を強めること、牧師であることの喜びを保持すること、終末論的信仰と霊性の回復、伝道戦線の拡大、心情的傾きより決断を行うこと、法感覚を重視させることであると語った。
また伝道に対して持つべき姿勢としては、社会的責任の自覚、キリスト者間における霊的一致、神のことばを権威をもって宣言する、主イエスに感ずる心の躍動をもって福音を伝達する、聖書が神のことばであるという確信を伝道者自身がしっかり持つ、緊迫感を持って語る、福音を単純に語る、生き生きとして生活をもって語る、愛をもって語る、伝道者それぞれの単独性を自覚することなどをあげた。
講演後の質疑応答では、キリスト教界の深刻な現状を憂う教会関係者からの鋭い発言が飛び交った。