万代栄嗣牧師のコラム第2回目です。 全国7教会を拠点に宣教を展開する傍ら、ラジオDJ、ビジネスの講演会、本の執筆など幅広い活動を行う同師が、永遠のベストセラーである聖書からビジネス成功の秘訣を語ります。
★クリスチャンであることでの「集中と選択」!★
●完全アウェーで大奮闘!●
東南アジアの各地を伝道で訪れていると、突然機会を与えられて、御言葉を取り次ぐことがあります。一番多いのは、当地の華僑クリスチャンの方々を中心とした、ビジネスマン相手の集会です。英語での説教ですので、当然、日本語でのあの手この手の技術は使えないし、サポートしてくれるミュージシャンもいなければ、あれこれ気遣ってくれるスタッフもいません。いわば完全アウェー状態。さて、私の説教は通じるでしょうか?
そんな状況では、付け焼刃的な技術は全く通用しません。普段から、海外伝道をしている、と公言しているものの、その実力がいきなり試されるような事態となるのです。自分が何者であるかが、真に問われる瞬間なのです。
●あれもこれもからの脱出!●
最近、マスコミの報道では、日本の景気は上向き、とのこと。しかし、生活実感からは、不況、デフレの風はまだまだ厳しいことは一目瞭然。そんな中、生き残りを賭けて奮闘する企業経営者たちの間に、半ば流行語のように広まっている言葉があります。それは、「選択と集中」というもの。バブルの時期は、何をしても上手く行くと言うので、多角的経営がはやりました。手広くすればするほど、儲かったというのです。それが、これだけ不況と競争が激しくなると、本当に利益を生み出すものを選び出し、そこにエネルギーを集中させた方が良いと言うのです。言わば、あれもこれもの時代から、"本業は何か"を問う時代になっていると言う訳です。
他人事ではありません。私たち、21世紀の日本のクリスチャンたちも、豊かな生活とは何か、成功とは何かと考え始め、大切なものを指摘し始めるとキリがありません。礼拝出席に教会での奉仕、クリスチャンらしさの溢れる家庭作り、子育てに老後の問題、今どきですから財産の運用のことも考えて、と文字通り枚挙に暇がありません。コンピューターも上手くならなければなりませんし、一つや二つは趣味も・・・文字通り、あれもこれもの状態。確かに、選択肢が無限にあり豊かな時代です。いろいろなことが出来るからこそ、成功への道筋を選び取る悩みは、増える一方だということです。本当はこの辺りで"自分の本業は何か""本職は何か?"と問い直してみるべきではないでしょうか。
●あなたの本職は何か?●
何年も前のこと、インドの原野を何時間もサスペンションの悪い車に揺られて、野外での伝道集会に出掛けた際、不思議な体験を与えていただきました。車の騒音と振動、顔に打ちつける埃まみれの渇いた空気、ソファーに沈み込みそうになる程の疲労感、でこぼこ道の揺れが次第に経験したことのない腰の痛みを・・・。その時、まどろみにも似た不思議な感覚の中で、主からの問い掛けを受けたのです・・・お前の本職は何か?と。ホテルも教会堂もなく、エアコンもなく、讃美のチームもおらず、誰も私のことを知らない・・・そんな中で、お前は一体何者で、何をしようというのか?と。
その時、私の手にあるもの、用いることの出来るものは、唯一つ、聖書だけでした。主の臨在を感じつつ、私は主キリストに仕える説教者です、とお答えしました。究極的には、私はこの一冊の聖書を持ち、聖霊の臨在に支えられて、主キリストの福音を語る僕です。それが、この私の一生です、とお答えしました。
●クリスチャンだからこその「選択と集中」!●
主ご自身が私の心に「選択と集中」を迫られた時であったと思います。それ以来、特に海外に出る度に、聖書を片手に、聖霊の臨在の中で、ただ主キリストの福音を語るのみ、という文字通り説教者として丸裸にされる経験は、厳しさを骨身に感じつつも、自分の最も大切なあり方を確認する恵みの時となっています。
クリスチャンとしての真の成功を目指す私たちの歩みは、まだまだ長く続きます。悩みは尽きません。いえ、むしろますます増えて行くことでしょう。しかし、クリスチャンとしての私たちの本性、主キリストの僕としての私たちの本来の姿に立ち返る時、必ず活路は開かれるのです。何事も原点を忘れてはなりませんね。そこに、本当の成功や幸せ、飛躍の秘訣が、すでに与えられているのですから。
●クリスチャンらしさを前面に!●
あなたは、人生の本質においてビジネスマンである以前に、クリスチャンであるはずです。その基本を忘れずに!クリスチャンであるあなたが、ビジネスの世界で本気で大成功しようとしているのですか?それぐらいの真剣な覚悟なのですか?それとも、ビジネスマンであるあなたが、たまたま暇な時には教会へ通っている程度のことなのですか?自分の生き方に対する「選択と集中」が大切です。
クリスチャンとして生き、存在していることを選ぶのであるのであれば、変にコソコソしないで、クリスチャンらしさをもっと前面に押し出してみればいかがでしょう。ビジネスの世界だから、と言い訳ばかりをして、クリスチャンらしさを妥協ばかりしているから、大成功しないのです。あなたのビジネスの姿勢に、クリスチャンだからという個性をしっかり組み込めば、人々はあなたの持つ神からの魅力に引き寄せられるはずです。
『私は福音を恥とは思いません。・・・』(ローマ1:16)
●今日のプラクティカル・アドバイス!●
・いつまでも会社の中で隠れキリシタンであってはなりません!
・あなたのビジネストークに聖書の御言葉を用いましょう!
・神の目から見れば、物事には必ず善悪があることを忘れずに!
・成功したあなたが、教会の中で輝いて奉仕している姿をいつも描いておくことです!
・今日の商談で決裂した相手のためにも、神の恵みを一言祈っておきましょう!
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万代栄嗣:松山福音センター主任牧師、アンデレ宣教神学院代表。ホームページ「万代栄嗣と話そう。」(http://www.mandai365.net/)