三浦綾子文学記念館(三浦光世館長、北海道旭川市)8周年記念特別企画展「三浦綾子の歴史小説『海嶺』」が会館記念日の6月13日からスタートしている。10月12日まで。
鎖国時代に世界を一周して世界初の聖書和訳に携わり、ペリー来航のきっかけとなった3人の漂流民がいた。『海嶺』は江戸時代後期、江戸に向かう途中に嵐に遭い、14ヶ月もの漂流のすえに北米に漂着した千石船宝順丸ら3人の日本人が、帰国を願いながらも数奇な運命を辿って行く三浦綾子の歴史小説。「細川ガラシャ夫人」「千利休とその妻たち」に続く3作目の歴史小説で、三浦作品の代表作の1つ。
この小説は、1978年から1980年までの3年にわたり『週刊朝日』に連載され、翌1981年に朝日新聞社から単行本(上・下)として刊行された。出版から今年で25年を迎えている。
執筆にあたり、三浦夫妻は1977(昭和52)年に香港・マカオ、そして愛知県知多半島の小野浦を皮切りに、翌年フランス・イギリス・カナダ・アメリカへと地球を一周する取材調査で、膨大な資料と綿密な時代考証に基づいて作品を書き上げた。
会場は4つのコーナーに分かれ、原稿や取材ノート、掲載誌のほか、三浦夫妻が取材旅行に行った時の写真などが展示されている。
同展では、想像を絶する苦難の中、それを乗り越えてたくましく生き抜いた人々の姿を浮き彫りにし、「いかに生きるか」に集約された作家・三浦綾子のメッセージを照らし出す。開館時間は午前9時から午後5時(入館4時半迄)。入館料は大人500円、高校・大学生300円、小中学生100円(土曜日は高校生以下無料)。問い合わせは電話:0166・69・2626まで。