原敬・第19代内閣総理大臣(1856〜1921年)がキリスト教徒だったことを示す遺品が、原敬記念館(木村幸治館長、岩手県盛岡市)で見つかった。
毎日新聞(2日付)によると、遺品は手のひらサイズのはさみで、刃を閉じると柄の部分に十字架が浮かび上がる。数年前から同記念館に展示されていたが、刃を開いて展示していたため、十字架に誰も気付かなかった。昨年12月、職員が展示品の並べ替えをしている時に発見したとのこと。
木村館長は「原敬は洗礼を受けていたが、それを進んで話すことはなかった。はさみは彼が生涯クリスチャンの自覚を持っていたことを示している」と話している。
原氏は本格的政党内閣を組織し、民主政治の確立を目指した人物。爵位を持たない東北出身の新聞記者だったため「平民宰相」と呼ばれていた。強硬政策や、普通選挙を認めない態度などが反発を買い、中岡艮一によって東京駅で暗殺された。
原敬記念館は原氏の生家に隣りに建設されており、原敬の業績をたたえ、政界の貴重な資料や原敬日記(はらけいにっき)、遭難時の衣服、遺品、遺墨等を展示している。