パキスタンで昨年冒とく罪による終身刑の判決が下され刑務所での服役生活を余儀なくされていたクリスチャンのカマル・デイヴィッド氏が15日、刑務所内で死亡していたのが発見された。パキスタン当局が伝えた。
デイヴィッド氏は2006年に冒とく罪を言い渡され、それ以来囚人生活を送っていたが、14日夜から15日朝にかけて心臓発作が生じ死亡したという。デイヴィッド氏が服役していた刑務所はBBCに対し「死因は心臓発作で自然死だ。故意的に自殺を図ったような跡や他者に殺害された証拠は見つかっていない」と伝えている。
デイヴィッド氏は刑務所内でクリスチャンのみを収容する部屋に入れられていたという。カトリック専門アジア・ニュースでは、デイヴィッド氏の遺体はパキスタンカラチの民間病院に運ばれ、病理解剖の結果心臓発作が死因であることが確認されたと報じられた。
デイヴィッド氏の友人や家族はデイヴィッド氏は健全であり、これまで何の病気の症状も訴えていなかったと悲嘆に暮れている。一方でデイヴィッド氏は刑務所内でいのちを脅かすような脅迫を受けていたことを耳にしていたという。
デイヴィッド氏は服役前はビジネスマンであり、競合他社のビジネスマンから冒とく罪を訴えられた。同国では冒とく罪は死刑あるいは終身刑となる重罪となっている。
昨年2月25日にカラチの裁判官はデイヴィッド氏の冒とく罪を認め、「イスラム教預言者ムハンマドに対しきわめて侮辱的な発言をした」として同氏に終身刑の判決を下した。デイヴィッド氏はさらに10万ルピー(約9万5千円)の罰金の支払いも命じられたという。逮捕以来、デイヴィッド氏は刑務官に脅迫されたり暴行を受けたりしていたといわれている。
パキスタン少数民族関係相のシャハズ・バッティ氏に引き続き、クリスチャンが死亡した今回の件を受け、キリスト教指導者らは「パキスタンの少数派にとってもう一つの悲しい日となった」と哀悼の意を示している。
イスラマバードのカトリック司祭ルフィン・アンソニー氏は、「悲嘆に暮れています。すべてのキリスト教共同体がこの数日間悲嘆に暮れてきました。バッティ少数関係相を再び蘇らせることはできず、今回のニュースでさらにパキスタンのキリスト教徒の将来に懸念が増すようになりました」と述べた。
パキスタンの冒とく法によると、同法に違反すると、他人の宗教を害した罪では懲役10年、イスラム教の聖典コーランを汚す者に対しては終身刑、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する者には死刑が求刑される。しかし現実には、同法をイスラム教徒がより弱い立場にあるイスラム教徒や異宗派の人々、宗教少数派を脅す手段として利用されることがしばしば生じている。さらに冒とく法で訴えられた人の家族やその人の属する宗教組織までもがイスラム教過激派によって攻撃の対象となることもあるため、問題視されている。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
日本聖公会京都教区の高地敬主教が辞意表明 元牧師による性加害事件の対応巡り引責
-
ヨハネ書簡集を読む(5)「義・真理・信仰」―イエス・キリストを通して― 臼田宣弘
-
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(7)お金で魂は救えない
-
ワールドミッションレポート(11月28日):ブルキナファソ 7年の監禁生活からの解放、信仰が彼を支える
-
硬直し病んだ人生からの解放 万代栄嗣
-
信仰によって受け取る「神の義」という恵み(8)揺らぐことのない信仰の歩み 加治太郎
-
ワールドミッションレポート(11月22日):インドネシア イスラム教徒多数派の国に、世界で最も背の高いイエス像が登場
-
ワールドミッションレポート(11月25日):アルバニア 破壊し尽くされた家庭に回復と希望をもたらす神(2)
-
何をしても快く思ってくれない人への対処法 菅野直基
-
日本基督教団、三役が再選 第43回総会
-
キリスト教系2大学の元・前学長が瑞宝中綬章を受章 2024年秋の叙勲
-
【書評】藤原聡著『姉と弟 捏造の闇「袴田事件」の58年』
-
日本聖公会京都教区の高地敬主教が辞意表明 元牧師による性加害事件の対応巡り引責
-
日本基督教団、三役が再選 第43回総会
-
何をしても快く思ってくれない人への対処法 菅野直基
-
硬直し病んだ人生からの解放 万代栄嗣
-
旧約聖書学者の関根清三氏、瑞宝重光章を受章
-
カンタベリー大主教の退任日程発表、ヨーク大主教が職務引き継ぎ
-
クリスマスイブに宝塚市で「Gospel in Christmas 祈りのコンサート」
-
8時間にわたるアルゼンチン最大のゴスペルフェスティバル開催、8万人が参加
-
米大統領選、トランプ氏が当選確実 勝利演説で語った「神が私の命を救った理由」
-
東京高裁、根田祥一氏の訴えを棄却 賠償額を増額
-
トランプ前米大統領の再選に対する米国内のキリスト教指導者9人の反応
-
カンタベリー大主教の辞任求める声上がる、同性間の性交渉支持する発言巡り
-
「行き詰まりはチャンス」 日本リバイバル同盟が東京で祈りの祭典
-
韓国の諸教会が連合礼拝・大祈祷会、ソウル中心部に110万人 同性婚反対など訴え
-
【書評】藤原聡著『姉と弟 捏造の闇「袴田事件」の58年』
-
英国国教会トップのカンタベリー大主教が辞意表明、児童虐待巡る対応で引責
-
「世界的危機におけるキリスト教病院の役割」 アジアキリスト教病院協会が沖縄で総会
-
キリスト教系2大学の元・前学長が瑞宝中綬章を受章 2024年秋の叙勲