6日夜開催された第7回サドルバック市民フォーラムにおいて、米カリフォルニア州サドルバック教会のリック・ウォレン牧師とトニー・ブレア前英首相が、2,600人の聴衆を前に信仰・中東和平・グローバリゼーションおよび9.11事件に関して対談を行った。ウォレン師は今回のサドルバック市民フォーラムにブレア元英首相を招き、「グローバル経済における平和」と題してフォーラムを開いた。過去のサドルバック市民フォーラムにおいてはブッシュ前米大統領やルワンダのカガメ大統領、大統領候補時代のオバマ民主党議員やマケイン共和党議員らが招待されていた。
ブレア前英首相はウォレン師に対し、「長期的に見て最も重要な課題は信仰に関する問題であると信じている」と述べた。グローバリゼーションに伴い、さまざまな文化的背景の異なる人々が否が応でも共に過ごさざるを得なくなる社会において、鍵となる問題は「我々がどのように共通の理解を共有し得るかである」という。
ブレア前首相は「信仰は自分よりもさらに重要なものがあるということを理解することだ。この考え方は、世界をより良くしていく働きにおいて重要な原則となる。もし人々が他者の信仰による行動を見るなら、他者を進んで支援しようと思うようになる。このような考え方・行動の仕方はグローバリゼーションをより容易にさせる。もし信仰というものが人々のものの考え方において主要な役割を果たさなくなるとすれば、無価値で信条もなく、確信もないグローバリゼーションが進むだろう」と述べた。
ブレア前首相は現在米国、国連、欧州連合およびロシアからなるカルテットの特使として中東和平の活動を行っており、「世界は異なる信仰を持つ人々が手を伸ばし合い、自身の信仰よりもむしろそれとは異なる他者の信仰により理解を示していくことで成り立っていくべきだ。この世界において信仰はさらなる未来の前進のための一部であり、過去の遺物ではない」と述べた。
ウォレン師は人々は異なる信仰をもつ人々に対しただ寛容であるだけではなく、そのような他者を敬意をもって扱わねばならないとし「異なる信仰者の間での対話というものは、自身の信仰を他者の信仰のために妥協させることを意味するものではなく、それぞれの信仰をより他者に理解できるように説明することである」と述べた。
ウォレン師は米国で2001年9月11日に生じた前代未聞のテロ事件において、ブレア前英首相に対し「悪を前にして、見物人は加害者と同程度に善とはみなされないものである。米国民を代表してあなたのリーダーシップに感謝する」と述べた。
ブレア元英首相は9.11事件が生じた当時、英国が米国を緊急支援する決断をした際に、英国内でブレア元英首相の決断を疑問に思う人々がいたことを証した。しかしブレア元首相はテロ行為に対する米国支援は、ただ単に米国を支援するという意味だけではなく、信条のシステムを擁護するという広い意味も込められていたと説明、「9.11事件はただの米国に対する攻撃ではなく、私たちの信じる信条のシステムに対する攻撃だった。『(ブレア首相は)なぜそんなに米国びいきなのか?』と疑問に思う人も確かに存在した。しかしそのような時私は決まって『これは米国のための支援ではない。我々の国のための支援である』と答えた。当時米国と肩を並べていなければ、私たちは私たちの価値観に対する確信が示せなかっただろう。あのテロ事件では私たちの『価値観』が攻撃されていたのだ」と述べた。
中東和平に関してブレア前首相は、中東の人々は民主主義を勝ち取りたいと切望しているが、現実に民主主義が広まるには難題が残っていると述べた。民主主義はただ4年に一度国民が投票することができるというシステムであるだけでなく、「投票権というものは他者の自由を導くべきものでなければならない」と述べた。さらに、「ある国が混乱し、組織が乱れるとき、イスラム教過激派は非常に組織化するようになる。だからこそ私たちは人々の影に立ち、後方からこれらの人々を支援していく必要がある。彼らがシステムを作り上げ、構造的変化を遂げる手伝いをしなければならない」と述べ、現在の反政府デモの状況に警告を与えた。
ブレア前首相はトニー・ブレア・フェイス・ファウンデーションを設立しており、主要な信仰間での他者の尊重と相互理解を深める活動を行っている。さらに同氏は良き指導者となるための思想について分かち合う機会をもっている。ブレア前首相は「リーダーシップとは普通の人間としての在り方を示すのではない。責任のすべてが流れ込んでくる立場にあって、恐れや自身に対する疑い、すべての間違った方向へ進むかもしれない事柄をさしおいて、その責任を自ら負って進んでいかなければならない。偉大なる指導者とはとても謙遜であり、自身の弱さを良く知っているものだ」と述べた。
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