エジプトで30年間政権を握ってきたムバラク大統領が11日、辞任する発表を行った。同国スレイマン副大統領は11日、ムバラク大統領が辞任する決意を固め、軍の最高首脳会議に権限を委譲したことを発表した。
米ワシントンのシンクタンク「ハドソン・インスティテュート・信教の自由センター」シニアフェローのポール・マーシャル氏は米クリスチャンポストに対し「ムバラク大統領の辞任はコプト教徒やその他エジプト国民に良い効果を与えるだろう。もし大統領が辞任しなければ暴動が引き続き生じ、エジプトは混とん状態に陥っていたことだろう。問題となるのは、辞任の後に生じる動きだ。自由と平和を希求する民衆を満足させる政権へと軍や副大統領が改革を促すことができるだろうか?」と述べている。
エジプト人口の12パーセントを占めるコプト教徒はイスラム教徒とともに反政府デモに参加した。BBCによるとキリスト教・イスラム教の住民らが共に一つに団結して反政府活動を行ったという。しかし、今年に入ってアレクサンドリアにあるコプト教会が過激派によって爆破されたことを受け、キリスト教徒とイスラム教徒との間の緊張感が高まるようになってきた。爆破事件では、年明け早々21人が死亡した。
宗教自由活動家らはキリスト教とイスラム教が団結した反政府運動はムバラク大統領辞任後も続くことを期待している。11日のムバラク大統領辞任の発表を受け、反政府デモを行っていた民衆は大きな歓声を上げた。反政府運動に参加していた一人の男性は「ついに自由を獲得した。今からこの国を統治する誰もが今回の出来事でこの国の民衆が偉大であることを知るようになるだろう」と歓喜の言葉を発した。
一方米政府でも、バイデン副大統領がエジプトでの反政府運動を「歴史的な運動」であると述べ、この移行過程が逆行不可能なものであり、エジプトの民主主義に向かって進んでいると評価した。10人の軍司令官からなるエジプト軍最高首脳会議は11日、エジプトを民主主義の国へと進展させる計画を練っていることを発表している。