【CJC=東京】1855年に英国で創設されたYWCA(女子キリスト教青年会)、今では世界150国で活動を展開しているが、肝心の英YWCA(イングランドとウエールズYWCA=ヘレン・ウォラス理事長)が2010年12月、『プラットフォーム51』に改称した。ただ『YWCA・オブ・グレートブリテン』という包括団体の一員であることに変化はない。
156年にわたって、キリスト者の支援により財務的にも支えられて来たものの、これまでの名称では実態をもはや21世紀では表現しきれない、と改称を決断した。
新名称は「人類の51%は女性であり、少女も成人女性もわたしたちを、自らの意思を貫く場とする、というわたしたちの現在の姿とか、わたしたちの働きをより正確に表わしている」という。ウォラス理事長は同性愛活動家であり、『機会平等委員会』委員長でもあった。
英国国教会の年報には、「主要関係組織」として掲載されているものの、理事や運営責任者に教会関係者はいなくなった。
しかし今回の改称と目的の中に「キリスト教」が消えたことに批判の声が上がっている。
英国のキリスト教調査機関『クリスチャン・インスティチュート』のマイク・ジャッジ報道担当は、「公的助成を受ける慈善団体選定に際し、キリスト教への差別があると広く信じられている」ことを改称の理由と見ている。「YWCAを成長させたのは、それがキリスト教だからだった。その価値を捨ててしまうのは恥ずべきことだ」と言う。
キリスト教関係慈善団体で、名称からキリスト教を外す動きの例として、英国ではスコットランドの『ホームレスのための教会行動』がある。2009年に検討を始めたが、それも寄付を受けるのに宗教がらみが障害になるからだ、と理事長が語ったのが契機となった。
YWCAと並び称されるYMCA(キリスト教男子青年会)に同様の動きはないのか。昨年、米YMCAが『ザ・Y』に呼称を変更したものの、YMCAであることを捨てたとはしていない。