韓国で先天性心臓疾患を患った生後2カ月の乳児が、輸血を禁じる「エホバの証人」の信者である両親の反対で手術を受けることができず、死亡していたことがわかった。東亜日報が伝えた。
乳児は大動脈と肺動脈が共に右心室に繋がる先天性心臓疾患のためソウルの病院の新生児重患室で治療を受け、輸血の必要な手術を受けなければならないとの診断を受けたが、両親は宗教的理由からこれに反対した。
病院側は10月頃、医療や倫理、法律の専門家などを集めて倫理委員会を開き、両親を相手取って裁判所に診療業務妨害禁止仮処分申請を提出。裁判所は病院側の主張を認め、「例外的な場合は、医療陣が客観的かつ合理的な資料に基づき、意思表現能力のない子どもの診療行為に対し、意思を推定した後、制限的かつ必須範囲内に限り、必要な診療行為を行うことができる」とした。
このような裁判所の判断が出たにもかかわらず、両親は乳児を同判断の法的な効力の及ばない別の病院に移し、手術を受けさせないまま死なせた。
今回の事件を受けて韓国では宗教的自由と生命権との対立について議論が巻き起こっているという。