ローマ教皇庁(バチカン)は24日、バチカンの承認を得ないまま中国政府公認のカトリック教会「中国天主教愛国会」が司教に任命した郭金才神父を破門したとする声明を発表した。
愛国会は20日、同会副秘書長で全国人民代表大会(全人代=国会)代表でもある郭神父を河北省承徳の司教に任命。これに先立ってバチカンは、任命を強行すれば中国とバチカンの関係改善の動きが損なわれると警告していた。
カトリックの教会法では「無許可で任命された司教は自動的に破門」と規定されている。破門は現行の教会法上、最も重い刑罰。
中国政府は、国内キリスト教会への外国の関与を認めず、独自運営原則を受け入れた教会のみを公認している。1951年の対バチカン断交を経て、中国のカトリック教会は「愛国会」と、教皇に忠誠を誓う非公認教会に分裂している。
カトリック教会では、司教は教皇だけが任命権を持つ。バチカンは、06年に愛国会による独自任命があった時から非公式に協議を進め、中国側が提示した複数候補の中からバチカンが承認したという形で司教任命を認めてきたとされている。だが、07年には中国側が独自に司教を選出後、バチカン側が黙認する形になった例があるとされている。
バチカンが今回、司教任命を承認しなかった背景には、郭神父が全人代代表であり、政府の影響を強く受けることになるとの懸念もあったとみられる。
愛国会の劉柏年副主席は、2年前にバチカンに決定を伝えたが「回答がなかった」と主張。一方、バチカンは今回の声明で、中国当局に対して郭神父の司教任命への反対を「数回にわたり、明確に伝えていた」と強調し、今回の任命を「教皇への侮辱だ」と非難している。