カンボジアの首都プノンペンで開催された伝統行事「水祭り」で、橋の上にいた見物客らが転倒するなどして23日までに少なくとも375人が死亡、755人が負傷する大惨事が発生したことを受けて、キリスト教国際NGOのワールド・ビジョンは現地の病院への支援を決めた。
ワールド・ビジョン・ジャパンの発表によると、現地スタッフは23日朝、多くの負傷者が収容されている8つの病院を訪問。ワールド・ビジョン・カンボジア事務局長のエステル・ハリム氏は同国の社会福祉大臣と面会し、病院に対して医薬品や食事などを支援することを決めた。
事故が発生したのはプノンペン市内を流れるトンレサップ川の中州に架かる長さ約100メートル、幅約8メートルの橋の上。22日午後9時半頃、見物客らが押し合いになって相次いで転倒するなどし、窒息死者、圧死者が相次いで発生。川に転落して水死者も出た。詳しい原因は不明だが、狭い橋の上に密集して身動きが取れなくなった上、「橋が壊れる」という噂が流れたため人々がパニック状態に陥ったのではないかと見られている。
エステル氏は今回の事故について、「被害はとても病院だけで対応できるような規模ではない。スタッフによると、病院はとても悲惨な状況で、多くの人々が廊下に横たわりながら治療を待っていた。また、多くの人々が病院を訪れ、被害者の中に自分の家族がいないか、取り乱しながら探していた」と報告している。
フン・セン首相は事故について「ポルポト政権による虐殺以来の悲劇」と述べ、原因究明のために徹底した調査を行うとした。