米国務省は、17日に発表した世界各国の信教の自由に関する年次報告の日本に関する項目で、民主党の小沢一郎元幹事長が昨年、キリスト教を排他的な宗教だと述べた問題について言及した。
同省は、日本の信教の自由に関する報告の「信教の自由に対する社会的尊重についての状況」で、「報道によると、2009年11月、ある有力な国会議員がキリスト教について『排他的で独善的な』な宗教だと発言した。カトリック教会とプロテスタント教会の組織である日本キリスト教連合会は発言の撤回を要求した」と報告した。
小沢氏は昨年11月、金剛峯寺(和歌山県高野町)を訪れ、全日本仏教会会長の松長有慶・高野山真言宗管長と会談した後、「キリスト教文明は非常に排他的で、独善的な宗教だと私は思っている」「キリスト教よりましだが、イスラム教も排他的だ」などと語った。
日本キリスト教連合会は、「キリスト教に対する一面的理解に基づく、それこそ『排他的』で『独善的』な発言」と抗議し、小沢氏に発言の撤回を要求した。
プロテスタント教会の組織である日本キリスト教協議会(NCC)も小沢氏の発言を問題視。同協議会の飯島信総幹事が同党本部を訪れ、発言の真意を問う申し入れをした。小沢氏は「キリスト教は一神教だが、仏教は非常に融合的な宗教であり、文化的な背景を説明したかった」と説明。飯島氏はこれに対し、「誤解を招くようなことがないようお願いしたい」と求めた。
一方、日本における信教の自由の全般的な状況について同省は、「憲法は信教の自由を定めており、その他の法律や政策も宗教の自由な実践に貢献している」と、昨年同様に評価した。