今月16日から南アフリカのケープタウンで開かれる第3回ローザンヌ世界宣教会議に出席するため、中国から出国しようとしていた中国政府非公認の地下教会牧師5人が、パスポートを没収されるなどして出国を阻まれている。5人の内4人がパスポートを没収され、1人が拘束された。パスポートが返されるのは会議が終わる25日だという。
5人は11日、北京首都国際空港での搭乗手続き中に国境警備職員によって出国を阻まれた。米テキサス州に本部を置く中国支援協会(CAA)によると、上海では同日、会議出席者の1人が無事に出国できたが、出国を拒否された人もいるという。CAAは、会議の主催者側に中国政府を非難するとともに、中国からの参加者がこのような迫害にあっていることを広く伝えるべきだと求めている。
同会議は約200カ国から4000人近いキリスト教指導者らが集う国際会議で、今回は1910年に開かれたエジンバラ世界宣教会議100年周年とも重なる。中国の情報を扱うニュースサイト「サーチナ」によると、会議には中国の地下教会関係者からも約200人が招待されていた。
同サイトが北京にある地下教会の牧師の話として伝えたところによると、中国当局は3月以降、招待状を受け取った教会関係者を洗い出し、同会議が反政府的なものであり参加不可能であると圧力を加えていたと言う。会議の開催期間に合わせて拘留処分を受けた牧師もおり、牧師は「最終的に誰かが中国から参加できると信じているが、何人参加できるかは分からない」と話している。
米国人の大衆伝道者ビリー・グラハム氏の呼び掛けなどにより1974年に第1回目が開催された同会議は、現代のキリスト教福音派に最も大きな影響を与えた非常に重要な会議。1989年にフィリピンのマニラで開かれた第2回会議から21年振りの開催で、福音派教会の世界組織である世界福音同盟(WEA)などが開催のために力を入れている。
13日時点で、同会議のウェブサイトやWEAのウェブサイトには、今回の事件についてのコメントは発表されていない。