【CJC=東京】米福音ルーテル教会(ELCA)の不満グループが新組織結成に動いた。同派が同性愛関係にある人を教職に任命する決定をしたことに反対、「信仰告白の原則を維持する」ためという。
新組織は、これまで準備を進めてきた『ルサラン・CORE』がオハイオ州で8月26、27の両日開催した年次会議で、『北米ルーテル教会』(NALC)として発足することを決定した。会議には1100人以上が出席した。
NALC発足会議には、タンザニアの福音ルーテル教会、エチオピアの福音ルーテル教会ミケーネ・イエススの代表も出席した。両派合わせると信徒は530万人で、世界のルーテル派ではそれぞれ2位と3位の規模。
「NALCは、聖書とルーテル派諸信条の権威を重んじることを含め、ルーテル派の信仰告白原則を維持する」と、声明は述べている。
会議は教会憲法を採択、暫定指導者としてペンシルベニア州ステイトカレッジのポウル・スプリング牧師を監督に選出した。来年、最初の年次会議を開催、そこで正式指導者を選出する。スプリング氏はELCA北西ペンシルベニア・シノッドの監督を14年間務めてきた。
同氏は、「NALCは、そのミッション(使命)として、キリストの福音を全ての人に述べ伝えることを掲げた。神の名において前進するわたしたちの教会の側に、神が立ってくださるように祈る」と語った。
2009年、ELCAは、「同性愛者の教職就任や専門活動家としての活動を認める」ため、教会規則変更に踏み切った。
『ルサラン・CORE』のライアン・シュワーツ副議長は、ENI通信に、ELCAの同性間関係に関する方策は、不幸の原因というよりは「病気だ」と語った。同氏は、ELCA大会で行われた礼拝での祈りの中に「わたしたちの内なる母」というのがあったが、これではほとんど異教ではないか、と言う。
不満派が、保守的な『ルーテル教会ミズーリ・シノッド』に加入しない理由を問われて、シュワーツ氏は、同派が聖書の「字句に捕らわれすぎ」であり、また女性教職を認めないことには賛成出来ないからだ、としている。
同氏は、新組織加盟を決定した教会が18、現在準備中が100を超えている、と述べた。
ELCAは、米国とプエルトリコ、バージン諸島に1万300教会を擁し、信徒450万人。ジョン・ブルックス報道担当は、「新組織結成はELCA離脱につながる」として遺憾の意を表明した。